企業の皆様、鳥取への移転はいかがですか?

企業の皆様、鳥取への移転はいかがですか?
砂丘しかないとは言わせない?!
東京の企業が地方に拠点を移す動きが広まる中、鳥取県に注目が集まっています。決め手となっているのが、自然の豊かさに加えて、新型コロナウイルスの感染者数が208人(2月19日現在)と、ほかの都道府県に比べて少ないことです。なぜ企業は移転を決めたのか、話を聞きました。
(鳥取局 米子支局記者 長山尚史)

都心のIT企業が鳥取へ

2度目の緊急事態宣言が出て、ほとんど人がいない、東京 千代田区にあるIT企業のオフィス。
個人情報を管理するシステムの開発などを担っています。

およそ500人の社員やスタッフは、感染対策のため、7割以上がテレワークに取り組んでいます。

この会社は去年10月、鳥取県に業務の一部を移転させました。事業を継続していくために必要な総務や経理、人事といった業務のリスクを分散させるためです。
移転先は、鳥取県西部の米子市。ここにはもともと開発を担当するシステムエンジニアなどおよそ10人が働いていました。
移転に合わせて、すでにあるオフィスに加え、近くに新たなオフィスを構えました。
現在、新たな現地スタッフの採用も進めていて、鳥取での事業規模はもとの5倍近いおよそ50人に増やす見込みです。
舩越会長
「新型コロナに後押しされた。コロナ禍だったからこそ決断できた」

感染者が少ないことが決め手に

この会社では、3年ほど前から都心の本社機能の移転を検討してきました。
東日本大震災のような広い範囲の災害に備えて、国内だけでなく、海外も視野に入れた検討が進められていました。
一時はグループ会社の拠点がある中国 武漢も候補地にあがりました。

候補地を決めるにあたっては、事業の継続という面だけでなく、“新型コロナの感染リスクが少ない”ことも条件に加わりました。

こうした中、国内の7府県にある拠点の中で、鳥取県が一気に有力候補に躍り出ました。
今では、鳥取の事業部は「第二の拠点」に“昇格”。一部の役員も鳥取県に常駐する予定で、地域の雇用にも貢献したいとしています。
舩越会長
「IT企業なので、セキュリティがしっかりしていれば、世界のどこでも仕事ができる。本社と同じ仕事ができる拠点を複数つくることで、会社の可能性も広がる。地方創生にもつながるので、業務移転をさらに進める」

リスク分散の動きは製造業にも

鳥取県に移転する動きは、製造業にも広がっています。

東京 港区に本社を置くデザイン制作会社「クレコ・ラボ」。国産の木材を使ったストローやマスクケースなどの商品を手がけてきました。
去年12月、鳥取県東部の智頭町に初めて自社の製造拠点を構えました。
山あいにある小さな町を選んだのは、もともと林業が盛んだったことに加えて、事業を進める環境が整っていたことです。

製造拠点は廃校になった木造校舎

都市部に比べて地価が安いとはいえ、製品づくりに必要な十分な土地や施設がすぐに確保できるのか不安もあったといいます。

そうした中、この会社が目をつけたのが、廃校となった小学校の校舎。
昭和17年に建てられた木造校舎は、国の有形文化財にも指定されていて、「木を活用する」会社のコンセプトにぴったりだと考えたのです。

建物を管理する団体に賃料を払って生産ラインをつくりました。
地元の人を新たに雇用して、本格稼働に向けて準備を進めています。
将来的には製品のおよそ7割を鳥取で生産する計画です。
原田マネージャー
「感染リスクが少ないですし、自然が豊かなのが魅力です。地域の雇用を増やしながら、地元の杉を全国に広めていければと思っています」

“密”のない鳥取の強みで企業誘致 課題も…

新型コロナの感染拡大で、企業の間で地方移転を検討する動きが広がる中、鳥取県も企業を呼び込むための支援を強化しています。
県内に生産拠点などを新たに設ける県外企業に対して、これまでの補助金に加え、最大5000万円を補助する制度を立ち上げる方針です。

企業からの問い合わせは増えているものの、企業の中には「必要な人材を確保できるか」「オフィスに適した場所を確保できるか」など、雇用や立地の面で不安を抱える経営者も多く、具体的な相談や、実際に移転や進出に結びつくケースはそれほど多くないといいます。

県では今後、オフィスや人材の確保に向けて、地元の市町村と連携するなどして、企業の移転を後押ししたい考えです。
中尾係長
「コロナ感染拡大のリスクは都会に比べてかなり低いと思う。大きなチャンスだと位置づけ、県としても補助金などによる支援を強化していきたい」

企業進出の新たな条件に

私は4年前から鳥取県で生活していますが、日常生活で人混みに遭遇することはほとんどなく、ストレスが少なく、感染リスクも低いと強く感じます。

新型コロナウイルスは、私たちの命や健康を脅かすだけでなく、企業の事業継続にも大きな影響を及ぼしています。

人口が少なく自然が豊かという要素は、これから企業が進出先を選ぶ際に有利な条件になっていくのかもしれないと感じました。
鳥取局 記者
長山 尚史
2017年入局 警察担当を経て、2年前から米子支局