月例経済報告 景気全体の判断 10か月ぶり下方修正

政府は今月の月例経済報告で、個人消費が緊急事態宣言の影響で弱含んでいるとして、景気全体の判断を10か月ぶりに下方修正しました。

政府は19日開かれた関係閣僚の会議で、今月の月例経済報告をまとめました。

それによりますと、「個人消費」は、緊急事態宣言の影響で外食関連の消費が一段と落ち込んでいるとして、これまでの「持ち直しの動きに足踏みがみられる」という表現から「このところ弱含んでいる」に下方修正しました。「個人消費」の判断の下方修正は、3か月連続です。

一方、「企業の設備投資」は、自動車関連の投資が増えてきているとして、これまでの「下げ止まりつつある」という表現から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正しました。

「輸入」は、“巣ごもり需要”を背景に家電製品の輸入が増えているなどとして、「おおむね横ばい」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正しました。

ただ、政府は「個人消費」の落ち込みが日本経済に与える影響は大きいとして、景気全体の判断を10か月ぶりに下方修正し、これまでの「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる」に改めました。

景気の先行きについては、「内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」としています。

西村経済再生相「緊急事態宣言を長引かせないことが大事」

今月の月例経済報告で景気全体の判断を下方修正したことについて、西村経済再生担当大臣は19日の記者会見で「設備投資は強く、輸出も堅調に推移しているが、GDPの6割近くを占めいわば『横綱』の個人消費が緊急事態宣言のもとで飲食や宿泊サービスで弱い動きとなっている。大きな下方修正というよりは、一部のサービス業の状況を見て判断した」と述べました。

そのうえで西村大臣は「緊急事態宣言を長引かせないことが大事だし、今年度の第3次補正予算を着実に執行することなどで対応していきたい」と述べました。

また西村大臣は、去年10月から12月までのGDP=国内総生産の「需給ギャップ」について、年率に換算しておよそ20兆円需要が供給力を下回ったとする推計を明らかにしました。

西村大臣は「需要不足なのでしっかり埋めなくてはいけない。今は財政出動をすべきときで、それが呼び水となって民需が引き出されることを期待している」と述べました。