大阪府 緊急事態宣言 今月いっぱいでの解除要請の方針を決定

大阪府は来月7日までの緊急事態宣言について、重症患者用の病床の使用率がおおむね減少してきたことなどを踏まえ、国に対し、今月いっぱいで解除するよう要請する方針を決めました。また、実際の要請は、兵庫県と京都府の判断を待ったうえで、3府県共同で行う方針も確認しました。

大阪府は緊急事態宣言について、
▼直近1週間の新規陽性者数が1日平均で300人以下の日が7日間続いた場合か、
▼重症患者用の病床の使用率が60%未満の日が7日間続いた場合、
専門家の意見を踏まえたうえで、国に解除を要請するかどうかを判断するとしています。

このうち、新規の陽性者数は、19日連続で300人を下回っているほか、重症病床の使用率も、17日が52.5%、18日は49.8%と、おおむね減少傾向となっていることから、府は19日午後、対策本部会議を開き対応を協議しました。

この中で、吉村知事は「緊急事態宣言は多大な犠牲を伴っている。社会全体を成り立たせるためには、感染症対策と社会経済活動を両立させることも非常に重要だ」と述べました。

また、大阪大学医学部附属病院の朝野和典教授も「新規陽性者数が政府の分科会のステージ3に相当する300人以下になり、病床の使用率の予測からも、近隣の自治体と解除を要請する段階にきていると考える」と述べました。

会議では国に対し、今月いっぱいで宣言を解除するよう要請することを決めました。

また、実際の要請にあたっては、大阪、兵庫、京都の3府県が足並みをそろえることが望ましいとして、兵庫県と京都府の判断を待ったうえで、3府県共同で行う方針も確認しました。

さらに宣言が解除された場合でも、感染拡大を防ぐためには飲食店などへの営業時間短縮の要請などは、段階的に解除していく必要があるとして、今後の措置の検討を急ぐ方針も確認しました。

吉村知事 営業時間短縮「少しずつ解除」

大阪府の対策本部会議のあと吉村知事は、記者団に対し「現在の大阪の感染状況や病床の使用率、さらに専門家の意見も踏まえ今月末をもって緊急事態宣言を解除するよう国に要請する」と述べました。

そして兵庫県と京都府の判断を待ったうえで来週中に3府県の知事による会議を行って、国に要請したいという考えを示しました。

また吉村知事は、現在夜8時までとしている飲食店などへの営業時間短縮の要請について「仮に今月末で宣言が解除になってもリバウンドを防ぐため少しずつ解除していきたい。大阪の繁華街については時短を1時間延ばす形で少しずつ緩和したい」と述べ、宣言が解除された場合は当面の間、営業時間を夜9時までとするよう改めて要請を行う方向で調整する考えを示しました。

京都府 来週に解除要請を判断

京都府の西脇知事は19日夕方、記者会見し「大阪府が対応を決めたのであれば、3府県一体で足並みをそろえるべきだと考えており、それを踏まえて対応したい」と述べました。

そのうえで「基本的には京都府で方針を決めたうえで大阪、兵庫と話すのがいいと考えている。専門家の意見を聞きながら来週の遅くはない時期に対策本部会議を開いて検討したい」と述べ、来週、対策本部会議を開いて府としての対応を判断する考えを示しました。

京都府では、緊急事態宣言の解除を国に要請するための独自の基準が、今月12日の時点で満たされています。

兵庫県知事「入院待機者の状況を総合的に勘案し判断」

兵庫県の井戸知事は19日夕方、記者団に対し「今の状況でそのような方向づけをすることは理解できる」と述べました。

そのうえで井戸知事は緊急事態宣言の解除を国に要請するかどうかについて、今月22日に県の対策本部を開く考えを明らかにしたうえで「基準をしっかりと達成できているとしたら、次に入院待機者の状況を総合的に勘案して判断することになる」と述べました。

愛知県「来週前半 緊急事態宣言の扱いを相談」

愛知県によりますと、新型コロナウイルスに感染して県内の医療機関に入院している患者の数は、18日夜の時点で416人となっています。

こうした中、愛知県の大村知事は記者会見で、19日午後、緊急事態宣言の扱いなどをめぐって、西村経済再生担当大臣と電話で協議したと明らかにしたうえで「今週末の数値を見て来週前半には緊急事態宣言の扱いを相談することになる」と伝えたと述べました。

そのうえで、「週末の数値を見たうえで、来週前半に、入院患者が引き続き順調に減って、感染状況と医療のひっ迫が収まってくれば、段階的に規制を緩和することは、自然なことだと考えている」と述べ、週明けに国と協議し、医療関係者などの意見も踏まえ、緊急事態宣言の扱いを判断するという考えを示しました。

福岡県 来週の早い段階で宣言解除を要請するか判断

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が延長された福岡県は、宣言の解除を国に要請するための2つの判断基準を設けています。

1つは、1週間の新規感染者数の平均が7日連続180人未満となることで、19日の時点で64.7人と、18日連続で基準をクリアしています。

また、県が最大で確保するとしている病床760床の使用率は、18日の時点で52.2%です。

新規感染者数の減少に伴い、病床の使用率も4日連続で前の日より下がり、基準の50%未満になることが見込まれる状況に近づいています。

このため、福岡県は専門家の意見も聞いたうえで、来週の早い段階で宣言の解除を国に要請するか判断することにしています。

福岡県保健医療介護部の飯田幸生部長は、記者会見で「病床の使用率も近日中に50%を下回ることが視野に入ってくる。週末の数字を見極め、専門家や市町村の意見も参考にして、国に宣言の解除を要請するかどうか、来週の早い段階で決めていきたい」と話しています。

西村経済再生相「状況を共有し適切に判断」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「感染状況や病床の状況などを共有しながら判断していくことになる。来週以降、知事からさまざまな意見があると思うので、それぞれの知事の判断をしっかり受け止めながら、状況を共有し、専門家の意見を聴いて、適切に判断したい」と述べました。

加藤官房長官「減少の鈍化を注視していく」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「10都府県では新規感染者数の減少も継続しているが、減少のスピードが鈍化している可能性もあり、留意が必要だという分析・評価がされており、政府としても、その点をしっかり注視していくことが必要だ。引き続き、感染状況や医療提供体制の状況を緊張感を持って注視し、専門家の意見を聴きながら、適切な判断を行っていきたい」と述べました。

大阪府 解除要請の基準の推移

緊急事態宣言を今月いっぱいで解除するよう国に要請する方針を決めた大阪府は、緊急事態宣言について、直近1週間の新規陽性者数が1日平均で300人以下の日が7日間続いた場合か、重症患者用の病床の使用率が60%未満の日が7日間続いた場合、専門家の意見を踏まえ、国に解除を要請するかどうかを判断するとしていました。

新規陽性者数では、大阪府に緊急事態宣言が出された先月13日は547人で、1週間後の先月20日は531人、2週間後の先月27日は410人と減少傾向にありました。

そして、今月2日には292人まで下がり、19日は103人となるなど19日までに300人以下が18日連続となり、基準に達しています。

重症患者用の病床使用率は、緊急事態宣言が出された先月13日は72.9%、2週間後の先月27日でも77.1%と70%台で推移し続けました。

しかし、今月11日に59.7%となり、その後、60%以上になる日もありましたが、19日は48.4%となるなど、60%未満は3日連続になっています。