コロナ 都市部の感染者減少速度の鈍化懸念 厚労省の専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染状況について感染者の減少は続いているものの、特に都市部では減少のスピードの鈍化が懸念されるとして、感染力が強いとされる変異ウイルスのリスクもある中で、減少を継続させるための対策の徹底が必要だとしています。

18日開かれた会合では、緊急事態宣言の対象になっている10の都府県の状況を中心に分析が行われ「新規感染者の数は減少が続いている」としたうえで、入院者や重症者、そして亡くなる人の数についても減少が継続していると評価しています。

その一方で、感染者数に占める60歳以上の人の割合が増えてきているため、重症者数の減少に時間を要するとしたほか、夜間の人の動きが再び増えてきている地域があり、特に都市部を中心に感染者の減少が遅れ、減少のスピードが鈍化している可能性があると指摘しています。

このうえで、専門家会合は減少傾向を継続させる必要があるとして、感染の再拡大を防ぎ、今後のワクチン接種に向けて医療機関の負担を減らすためにも対策の徹底が必要だとしています。

そして、再拡大を防ぐために大人数での会食を避けるなどの行動がカギになるとして、年度末に向けて歓送迎会や謝恩会、卒業旅行や花見に伴う宴会などを控えることに協力してもらえるよう、効果的なメッセージを発信することが必要だとしています。

このほか、専門家会合は、感染力が高いとされる変異ウイルスや、抗体の攻撃から逃れやすくなっていると考えられる変異ウイルスについて、検査体制を強化して早期に見つけ、封じ込めることが必要だと指摘しています。

田村厚労相「次の波を意識しながら対応」

田村厚生労働大臣は、会合の冒頭「新規感染者を十分に抑え込み、次の波を意識しながら対応していかなければならない。高齢者施設でのクラスターに対し、10都府県では、従事する人たちへの検査を3月中をめどに実施することになる。現在、最大2万2000施設が対象となると報告を受けているので、重点的に対応するよう、各都道府県にお願いしていきたい」と述べました。

また、新型コロナウイルスのワクチンについて「4月からは高齢者にも接種することになっており、万全の対応をしていかないといけない。供給量の問題もあり、情報が十分に行き渡らず心配をかけているが、安心して接種できるよう対応をしたい」と述べました。

脇田座長「再拡大しないレベルまで減少を」

専門家会合の脇田隆字座長は、記者会見で「会合の中では、現在の状況として感染者数の減少速度が鈍化してきているという指摘があった。重症者や亡くなる人を減らし、ワクチン接種を担う医療機関の負担をなるべく減らす必要がある。また、変異株の感染が増加するリスクもある中、感染経路を追う調査などの対策をしっかりできるレベルにまで感染状況を改善することも求められている。感染が再拡大しないレベルまで感染者数を減少させることが重要だ」と指摘しました。

埼玉県 大野知事「宣言解除を要望する状態にない」

埼玉県は新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、大野知事は「変異ウイルスの感染状況などを見れば、早期の緊急事態宣言解除を国に要望する状態には至っていない」と述べ、県民に対して引き続き不要不急の外出自粛への協力を呼びかけました。

18日に埼玉県の対策本部会議が開かれ、県内では感染者数の減少傾向が続いているものの、病床の占有率などが高止まりの状態となっていることや、16日の時点で変異ウイルスの感染が確認されたのは37人と、全国で最も多いことが報告されました。

そして、県内の医療機関や高齢者施設の職員や、新たな入院患者など合わせて25万人余りを対象に、早ければ今週から3月いっぱいにかけて検査を集中的に行うことなどが決まりました。

会議のあと、大野知事は「感染者数は減少しているものの、変異ウイルスの感染状況や病床占有率の高止まりの状況とあわせれば、早期の緊急事態宣言解除を国に要望する状態には至っていない」としたうえで、県民に対して引き続き不要不急の外出を自粛するよう、協力を呼びかけました。

大阪府 吉村知事「解除要請 3府県一体で」

大阪府は、緊急事態宣言の解除を国に要請するかどうか、19日に開く対策本部会議で対応を決める方針です。

吉村知事は、解除を要請する場合は、兵庫県と京都府の判断を待ったうえで3府県で行いたいという考えを示しました。

来月7日までの緊急事態宣言について、大阪府は、新規の陽性者が減少傾向にあることなどを踏まえ、19日に対策本部会議を開いて、国に解除を要請するかどうか対応を決める方針です。

これについて吉村知事は、18日の記者会見で「現在の新規の陽性者数を考えれば、今後の重症や中等症、軽症の病床の使用率はしばらくは減少傾向になると思う。緊急事態宣言の効果が出て、病床の使用率もある程度見えてきたということであれば、解除の判断をすることも必要だ。19日の会議で方向性を決めていきたい」と述べました。

そのうえで吉村知事は「緊急事態宣言については、京阪神が一体で対応することを決めたので、解除要請も3府県一体で協調して行うのが筋だ。大阪だけ単独で要請することは、今の段階で僕自身、思っていない」と述べ、国に解除を要請する場合は、兵庫県と京都府の判断を待ったうえで3府県で行いたいという考えを示しました。

愛知県 大村知事「解除可能か週明けに判断」

緊急事態宣言について、愛知県の大村知事は、今週末までの入院患者数の状況を注視し、解除が可能かどうかを週明けに判断したいという考えを示しました。

愛知県によりますと、新型コロナウイルスに感染して県内の医療機関に入院している患者の数は、17日夜の時点で429人となっています。

愛知県の大村知事は18日の記者会見で、緊急事態宣言について「感染者と入院患者は着実に減少しているが、さらに入院状況を落ち着かせていきたい。今週末でどこまで入院患者が減少していくかしっかり注視して、週明けに判断していきたい」と述べました。