就活 本格スタート前に企業が「SDGs」アピールするイベント

来年春に卒業する大学生の就職活動は来月、本格的にスタートします。国連の定めるSDGs=持続可能な開発目標への関心が高まる中、企業がこうした分野での取り組みを学生たちにアピールするイベントが相次いで開かれています。

17日は「SDGs」をテーマにした企業や業界研究のためのセミナーがオンラインで開かれました。

企業側は精密機器の販売会社や日用品メーカーなど、12社が参加。また、事前に参加を申し込んだ学生はおよそ800人にのぼりました。

それぞれの企業の担当者は、主力製品の生産に使う電力を再生可能エネルギーで生み出したものだけでまかなっていることや、海外での植林事業を通して現地で新たな雇用を生み出していることをアピールしていました。

参加した「リコージャパン」の太田康子さんは、「『SDGs』に高い意識を持っている学生は、社会問題にアンテナを張りみずから考えて行動を起こせる人材だと思っているので、積極的に採用したい」と話していました。

主催した会社は去年7月、初めて「SDGs」をテーマにしたセミナーを開きましたが、企業と学生の双方から好評だったため、今回の開催を決めたということです。

主催した就職情報会社「ジェイ・ブロード」の中下弦さんは「学生、企業ともに『SDGs』への関心が急速に高まっていると感じる。近いうちに、『SDGs』の観点で企業を選ぶことが当たり前になるのではないか」と話していました。

また、今月13日にも、環境や「SDGs」をテーマにした企業研究のためのイベントがオンラインで開かれ、およそ340人の学生が参加して二酸化炭素の排出削減についてどう考えているかなどを質問していました。

参加した大学生の1人は「『SDGs』の達成に貢献する企業を就職先に選びたいと思って参加しました。新型コロナウイルスの影響もあって、社会課題を自分ごとととらえるようになり『SDGs』に関心を持つ学生は多いように感じます」と話していました。

新たな就活サイトも

「SDGs」への意識が高まる中、この分野に関心を持つ学生向けに新たな就活サイトを立ち上げようという動きもあります。

「エシカル就活」と名付けられたこのウェブサイトは、都内の大学の4年生、勝見仁泰さんが代表を務める会社が、ことし4月からサービスを開始します。

サイト内で紹介されるのは、それぞれの企業が持続可能な社会の実現に向けて行っているさまざまな取り組みで、一般的な就活サイトで紹介される給与や福利厚生といった情報は掲載しない予定です。

一方、サイトに登録した学生は、それぞれが環境保護などに関する自身の活動をプロフィールに掲載。関心を持った企業の取り組みにコメントすることもでき、それをきっかけに学生と企業の対話が始まり、就職につながればと考えているといいます。

すでにおよそ300人の学生が登録していて、ことし4月のサービス開始までに企業側は50社程度、学生側は1000人ほどの登録を目指したいとしています。

勝見さんは、「企業側は、いま、SDGsに取り組まなければいけないという意識が強いと思うので、関心の高い学生とマッチングする仕組みをつくることで社会課題の解決につなげたい」と話していました。

企業の意識改革 奮闘する人も

学生時代、気候変動の問題に取り組み、今度は新入社員として企業の意識改革を実現しようと奮闘する人もいます。

去年4月、横浜市の印刷会社に入社した宮崎紗矢香さんです。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんの影響を受け、大学時代、デモ行進に参加するなどして地球温暖化対策の必要性を訴えてきました。

就職活動の際も、環境に配慮しているかどうかを重視し、今の会社が、再生可能エネルギーの導入や石油由来ではない材料の使用に積極的だったことなどから就職を決めました。

宮崎さんを採用した「大川印刷」の大川哲郎社長は「社会の激変に対応するため、会社を変えるきっかけをつくってほしいと考えて採用した」と話しています。

その一環として今月、始まったのがすべての従業員に地球温暖化問題について学んでもらう勉強会。社員の中で最年少の宮崎さんが講師を務めます。

宮崎さんは、自分が地球温暖化の問題に関心を持ったいきさつを紹介したうえで、温暖化による深刻な被害を受けるのは今の若者よりさらに下の世代であることなどを話し、対策の重要性を訴えました。

宮崎さんは「同世代の似たような考え方の人に囲まれていた学生時代とは違い、親やそれより上の世代の人たちに理解を広げる難しさも感じています。自分の問題意識を、自分のことばで話していきたい」と話していました。

大川社長は「地球温暖化や新型コロナウイルスといった大きな社会問題に直面する中、自分なりの考えを持ち行動を起こす若者が増えていると感じる。宮崎さんの存在によって社内に『化学反応』が起き、社員の意識改革につながれば」と話していました。