政府 “約束手形”2026年めどに利用廃止求める方針

企業の間の取り引きで代金を後払いする際に使われる約束手形について、政府は支払いまでの期間が長く、中小企業にとって資金繰りの負担が重いとして、5年後の2026年をめどに利用を廃止するよう産業界や金融業界に対応を求める方針を固めました。

約束手形は、企業の間の取り引きで代金を後払いする際に使われる決済手段として広く利用されています。

しかし、経済産業省によりますと、現金での振り込みに比べて現金を受け取るまでの時間がかかると指摘されていて、中小企業にとって資金繰りの負担になっています。

また、約束手形のやりとりには紙が用いられていることから、印刷や郵送、保管のコストがかかり、紛失のリスクもあります。

政府は、こうした状況を踏まえると約束手形は時代にそぐわないとして5年後の2026年をめどに利用を廃止するよう産業界や金融業界に対応を求める方針を固めました。

政府は、有識者を集めた会議を近く開き、廃止に向けた報告書をまとめたうえで、業界での利用の実態に応じた行動計画を策定するよう促すことにしています。

具体的には、大企業が先行して利用を廃止することや、支払いまでの期間が短い現金での振り込みや手形などの債権を電子化してインターネットで取り引きする「電子記録債権」に移行することを求め、古い商習慣の改善につなげたいとしています。

約束手形とは

約束手形は取引先への支払いを約束する有価証券です。

商品やサービスの提供を受けた企業が、専用の用紙に金額や支払期日などを記入し、取引先に渡します。

手形を受け取った取引先は、支払期日に金融機関に持って行けば現金を受け取ることができる仕組みで、江戸時代にはすでに行われていた商習慣と言われています。

手形を振り出すことで支払いが猶予されるため、商品やサービスの提供を受けた企業が資金繰りの負担を軽減させるための手段として使うことが多いとされています。

高度経済成長期は資金不足の企業が多かったため、約束手形の発行が活発になり、財務省の調査によりますと、1990年度には約束手形などの発行残高はおよそ107兆円に達しました。

しかし、資金調達手段が多様化したことやインターネットバンキングが普及したことなどから、その後は、減少傾向となり、2019年度にはおよそ25兆円まで落ち込んでいます。

ねらいは中小企業の資金繰り改善

経済産業省が今年度、製造業や小売業などのおよそ1万社を対象に行ったアンケートによりますと、企業間の取り引きの決済に現金による振り込みを使った場合、入金されるまでの期間はおよそ50日だったのに対し、約束手形はおよそ100日と2倍の長さになっています。

手形を振り出すことで支払いが猶予されるため、商品やサービスの提供を受けた企業にとって資金繰りの負担が軽減する一方、販売した企業にとっては、なかなか手元に現金が入ってこないことになります。

さらに約束手形は、紙で取り扱われるため、印紙代や郵送費、管理費のほか、現金と交換する際の手数料がかかるほか、紛失のリスクもあります。

全国銀行協会の試算によりますと、約束手形を用いることによるこうした社会的コストは、電子化した場合に比べて、年間で1114億円多いとしています。

このため、約束手形の振出人の76%、受取人の92%が「約束手形の利用をやめたい」と回答しています。

政府としては約束手形の利用を廃止して、電子化を進め、入金されるまでの期間を短縮するよう促すことで、企業間の取り引きが迅速かつ効率的に行われ、中小企業の資金繰りの改善にもつながるとしています。