菅首相 「何としても収束に」ワクチン接種で 衆院予算委

衆議院予算委員会は、新型コロナウイルスのワクチン接種などをテーマに集中審議を行い、菅総理大臣は「感染拡大防止の決め手になるもので何としても収束に向かわせたい」と述べ、円滑に接種を進めるための体制整備に全力をあげる考えを示しました。

自民 国光文乃氏「国内でワクチン事業化を」

自民党の国光文乃氏は「ワクチンが少なくなると、EU=ヨーロッパ連合のように『うちの地域から出さない』ということも起こり得る。国内で事業化することは、安全保障上も、国民の命を守るためにも大事なことだ」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「予期せぬ感染症に対するワクチンや治療薬について、国内で開発や生産の体制を確立しておくことは、重要な危機管理だ。多くの国民から『なぜ日本はないんだ』という疑問があることも承知している。国内でできるよう、しっかりと支援を行っていきたい」と述べました。

公明 中野洋昌氏「接種の優先順位 現場に裁量を」

公明党の中野洋昌氏は接種の優先順位について「国で決めているが、現場では『こういうふうに打っていきたい』という声も非常に強い。裁量を認める方向で進めてもらいたい」と求めました。

これに対し、田村厚生労働大臣は「人口が500人くらいしかない自治体では、十分なワクチンの供給量を前提に効率的に対応してもらう。介護施設などで働く方々は、本来はあとだが、ワクチンを余らせないことなどを考えて対応してもらっても差し支えない」と述べました。

立民 長妻副代表「ワクチン接種の全責任負う覚悟あるか」

立憲民主党の長妻副代表は「日本でコロナワクチンの第1号の接種がなされた。ワクチン接種に関して、菅総理大臣は『自分が全責任を負う』という覚悟はあるか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「感染拡大防止の決め手になるもので、何としても収束に向かわせたい。全責任は内閣総理大臣の自分にあるという思いで、こんにちまで全力で取り組んできた。多くの国民に1日も早く接種してもらえる環境を作っていくのが、政府の責任だ」と述べました。

共産 赤嶺政賢氏「沖縄本島南部の土砂採取やめるべき」

共産党の赤嶺政賢氏はアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設工事に関連し「沖縄本島南部は戦没者の遺骨が発見され、遺族のもとに送り届ける活動が続けられている地域だ。南部からの土砂採取はやめるべきだ」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「埋め立て用の土砂は、沖縄県内と県外のどちらから調達するかも含め、現時点で確定していない。仮に、南部で採取する場合は、業者に対し戦没者のご遺骨に十分配慮したうえで行うよう求めていきたい」と述べました。

維新 藤田文武氏「公正公平な支援 届けるすべない」

日本維新の会の藤田文武氏は「感染拡大でどの人が、どの程度困っているかを把握できず、公正で公平な支援を素早く正確に届けるすべを持たないことが明らかになった」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「給付金の支給に遅れが生じるなど、支援を素早く正確に届けられない方々がいたことは素直に反省しなければならない。利用者目線に立ってデジタルの活用を進め、次の有事の際には即応できるような体制を整えているところだ」と述べました。

国民 前原代表代行「中国『海警法』に『国際法違反』明確に」

国民民主党の前原代表代行は、中国が海警局に武器の使用を認める「海警法」を施行したことについて「『運用がこうなれば国際法違反だ』という腰の引けた言い方ではなく『国際法違反になりうる』と明確に言うのが大事だ」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「『海警法』は、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでいる。わが国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならず、中国に対し強い懸念を引き続き、しっかり伝えていきたい」と述べました。
このほか、接種にあたる医療人材の確保について、厚生労働省の正林健康局長は「医療関連業務にかかる労働者派遣は、原則として禁止されているが、へき地については、4月1日から接種会場を含め、医療機関に対する看護師などの派遣を可能とする予定だ」と述べました。

また、菅総理大臣は、新型コロナウイルスに感染し自宅などで療養中に亡くなった人について「国民の命と暮らしを守ることが政治の責任だ。自宅療養中や宿泊療養中に亡くなられた方については、大変申しわけなく、ご冥福をお祈り申し上げる。引き続き、適切な実態把握に努めていきたい」と述べました。