小池都知事が施政方針「コロナ禍の社会経済 早期回復へ対策」

東京都議会の定例会がはじまり、一般会計の総額で過去2番目の規模となる7兆4000億円余りの新年度、2021年度の当初予算案が提出され、小池知事は「コロナ禍により影響を受けた社会、経済の早期回復に向けた対策を推進する」などと述べ、都民生活を下支えする施策に力を入れる考えを示しました。

東京都議会の定例会が17日からはじまり、昨年度・2019年度に次いで過去2番目の規模となる一般会計の総額で7兆4250億円の新年度・2021年度の当初予算案が提出されました。

小池知事は、施政方針で「成長し続ける都市・東京の実現に向けた戦略的な取り組みを果敢に進めることに加え、コロナ禍により影響を受けた社会、経済の早期回復に向けた対策を推進する」と述べ、都民生活を下支えする施策に力を入れる考えを示しました。

また、東京オリンピック・パラリンピックについては「開催都市の責務を果たすべく、安全安心な大会を実現する準備にまい進していく」と述べました。

都税収入コロナで減少 借金増

東京都は予算案の編成にあたり、新型コロナウイルスの感染拡大による企業収益の悪化などで都税収入が減少する見通しとなっていることから、貯金を取り崩しつつ借金を増やすなどしてやりくりしています。

新年度の都税収入は、これまでで最も多かった昨年度よりおよそ10%減り、5兆450億円になる見通しです。

歳入全体に占める都税収入の割合は7割ほどで、影響が小さいとは言えません。

一方、予算規模は今年度を上回り、過去2番目となりました。

オリンピック・パラリンピックの開催に向けた費用や感染拡大で打撃をうけた企業への資金繰り支援などの費用で「歳出」が拡大したためです。

都は、新年度「貯金」にあたる複数の「基金」から、合わせておよそ8300億円取り崩すとしています。

これまで積み立ててきた「基金」を半分近く取り崩すことになります。

これにより都の基金残高は、およそ7600億円まで減少します。

残高が1兆円を下回るのは、15年前の2006年度以来で、最も多かった2017年度の2兆7600億円からは、およそ70%の減少となります。

さらに、都は「借金」にあたる「都債」の発行も大幅に増やします。

新年度の都債発行額は5900億円で、2000年度以降では最も多くなり、2年連続の増加となります。

都民1人当たりに換算すると、都税収入を含めた収入全体が43万円なのに対し、支出は53万円で、貯金を6万円取り崩し、新たに4万円の借金をする計算です。

都は、昨年度まで好調な都税収入が続いたことで基金への積み立てを増やし、都債の発行を抑えてきたとして、財政的な「余力」は十分にあるとしています。

ただ、今後、税収の低迷が長引けば蓄えてきた「余力」を次第に失っていくことになります。