奥深い「切手」の世界

奥深い「切手」の世界
日本に近代郵便制度が導入され、切手の発売が始まってから150年。今回はその歴史に注目してみましょう。

問題に挑戦!

問題
人は離れた場所にいる人と連絡をとるために、(1)郵便や電報、電話などを用いてきました。
(「(1)郵便」に下線)
文中の下線部(1)に関して、明治時代に日本の郵便制度の発足に力をつくした人物を、次のア~エの中から1人選び、記号で答えなさい。

ア.岩崎弥太郎
イ.渋沢栄一
ウ.福沢諭吉
エ.前島密

(昭和女子大学附属昭和中学校 2015年)
答えは「エ.前島密」、前島は、近代郵便の父とされていますよね。
現在発行されている普通切手の一覧を見ても、前島の存在の大きさをうかがうことができます。動物、花、国立公園の風景が題材になるなかで、1円切手だけ唯一の肖像画。これが前島です。ほかの切手と違って、およそ70年間、このデザインは変わっていないそうです。

歴史を振り返りながら、切手の奥の深~い世界を少しだけのぞいてみましょう。

切手の始まり

世界で初めて切手が登場したのは1840年、イギリスで生まれました。ヴィクトリア女王の横顔が描かれ、価格は1ペニー。黒の1色刷りであることから「ペニー・ブラック」と呼ばれています。

世界で、初めて切手が登場した当時、どれぐらいインパクトがあったのでしょうか。
「切手の博物館」、学芸員の田辺龍太さんに話を聞きました。
田辺さん
「それまでは、受け取った本人が料金を払うことになるなど、郵便を利用するのが、面倒くさかったそうです。切手によって郵便のやりとりが盛んになりました」
日本では1871年(明治4年)、前島による近代郵便制度の導入で、初めて切手が発行されました。江戸時代からのお金の単位、「文」と「竜」が描かれた「竜文切手」です。和紙でできていて、職人が1枚ずつ手作業で作っていました。

変遷する“切手の役割と価値”

20世紀初めまでに、郵便網は世界に広がりました。
たくさんの人々が切手を目にするようになるにつれ、切手はその国の力を示すための役割も担うようになったといいます。
日本では戦時中、軍国主義的なものが登場します。戦闘機や、若い兵士の姿などが切手に描かれました。
田辺さん
「国民の心をひとつにまとめる装置としての役割もあったんじゃないでしょうか」
戦後は、国が郵便事業を復興させるため、切手の購入層を増やそうとしました。
このため日本人の「美的感覚」を刺激する切手が次々と発行されました。
絵画、風景、生き物などを題材にしたもので、なかには、通常の2倍以上の大きさの記念切手に浮世絵がデザインされた物もありました。
田辺さん
「多色の浮世絵も1色の紫で上品にしたり、美しい切手が多いと思います」
気に入ったものを集めて、楽しみたい。
一般にもこうした価値が広がり、切手収集が一大ブームになったのが高度経済成長期でした。
そして、現代。
世相を反映して、新型コロナウイルスと闘う医療従事者が描かれた記念切手も各国で発行されています。
インターネットが発達し、直筆の手紙を書く機会は減りました。
だからこそ、思いを込めて書いた手紙に貼る「切手」の役割は重要になっていると田辺さんはいいます。
田辺さん
「切手は送る相手に何かを伝えたいときに選ばれるもの。ことしのお花見は難しい、ただ、この桜の切手を貼ると、相手も、来年は見たいよなと。いろいろな思いが手紙に集まっていて、それを飾る物としていいものではないかな」

150年の節目に

切手の歴史やその時々の価値について考えてみました。
切手のデザインが時代とともに変化するなか、この70年間ほど、変わることがなかったのが、冒頭にも触れた前島密の1円切手です。
それがこの4月から、前島に加えてクマのキャラクター、「ぽすくま」の1円切手が1億枚、販売されることになりました。150年の節目に子どもたちにも郵便に関心をもってほしいということなんだそうです。
1枚の小さな切手の中に、歴史や時代の空気、そして、人の思いまで込められている。切手の世界、奥が深いですよね。
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