アメリカ ワクチン接種 企業が奨励金出し従業員に促す動き

新型コロナウイルスのワクチンの接種が進むアメリカでは、企業が従業員に対していわば奨励金を出して積極的な接種を促す動きが出ています。

ハンバーガーチェーンの「マクドナルド」は、アメリカの直営店で働く従業員などがワクチンを接種する場合、4時間を有給とすることにしています。

全米に1万6000店以上を展開するディスカウントショップ「ダラー・ゼネラル」も、ワクチンを接種した従業員に4時間分の給与を支払うほか、大手スーパーの「トレーダー・ジョーズ」は従業員がワクチンを1回接種するごとに2時間分の給与を支払うとしています。

また、大手スーパーの「ターゲット」は最大4時間分の給与を支払い、接種会場に行くための交通費も補助するとしています。

ワクチンの安全性や効果をめぐってはさまざまな意見があり、接種を希望しない人もいるということですが、これらの会社は、従業員と顧客の双方を守るために、積極的な接種を促したいとしています。

また、航空業界では「ユナイテッド航空」が、従業員の安全を守るうえで、接種の義務化が正しい判断だという考えを示し、ほかの企業にも義務化に向けて動くよう働きかけています。

一方「アメリカン航空」は、渡航する際にワクチンの接種を条件とする国や地域が出ないかぎり従業員への義務化はせず、接種を強く促すことにとどめるとしています。

また「サウスウエスト航空」も義務化はせず、接種を促していくということです。

専門家「賃金補助は効果的」

雇用問題に詳しいコロンビア大学のローラ・ブードロー助教授は「アメリカではワクチン接種に消極的な人がかなりの数いるので、義務化してしまうと、社会の反発を招く懸念がある」と指摘したうえで「集団免疫を獲得するために必要なレベルのワクチン接種を実現するには、雇用主が賃金の補助などインセンティブを設けることはとても効果的な手段だ」と述べました。

そのうえで「接種について従業員がどの程度、消極的なのかアンケートを行うなど、よくコミュニケーションをとり、義務化が必要な場合には、なぜ必要なのか透明性の高い丁寧な説明が求められる」として、企業と従業員が信頼関係を構築することが欠かせないという考えを示しました。