ワクチン 河野大臣会見「高齢者 4月から接種開始見込む」

新型コロナウイルスのワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣は、記者会見で、17日から医療従事者およそ4万人を対象にワクチンの先行接種を開始することを明らかにした上で、来週には先行接種が行われる100の医療機関すべてで始まる見通しを示しました。

「4万人の医療従事者にあすから接種開始」

河野大臣は記者会見で「ファイザー社の新型コロナワクチンについて、今月14日に、厚生労働大臣から特例承認が行われ、きのう、厚生労働省の審議会で、実施期間はおおむね1年間、接種対象者は16歳以上の方とし、1回目を接種した3週間後に2回目を接種する方針が公表された。これを受けて、100の医療機関から、先行接種の候補者として提示を頂いていた、およそ4万人の医療従事者に対して、あすから接種を開始する」と述べました。

「医療従事者に継続的観察日誌 安全性について調査」

「4万人のうちおよそ2万人の医療従事者に継続的に観察日誌を記入してもらい、接種の安全性について調査を行うことになる。最初の接種から3週間後に2回目の接種を行い、そこから28日間、合計で7週間、日誌をつけてもらうことになる」と述べました。

「先週EUから第1便到着 6万4350の容器届いた」

「先週、EUからワクチンの第1便が到着し、ワクチンの入っている6万4350の容器が届いた。まず、100の医療機関に対して、医療従事者の先行接種のために、2回接種できるのに十分な量をお届けする。おそらくきょう午後6時ごろ、最初の場所に到着するのではないか」と述べました。

「高齢者 4月から接種開始を見込んでいる」

「今後のワクチン接種の見通しについては、あすから先行接種が開始され、100の医療機関で、おそらく来週にはすべて開始されることになると思う。2回目の接種は3月10日以降ということになる」と述べました。

また「高齢者については以前から申し上げている通り、4月から接種を開始することを見込んでいるところだ」と述べました。

「来週には第2便が到着する見込み」

「ワクチンの供給について、来週には第2便が、わが国に到着する見込みだ。超低温冷凍庫については、先行接種する100医療機関には、もう配置されているが、今月中に、およそ1500の医療機関に配置が完了する予定になっている。週末に大きな地震があったが、ファイザーがワクチンを保管している場所は現在、停電も起きておらず、保管に問題は起きていない。先行接種が行われる100の医療機関は、すべて非常用電源を保有しており、今後、ワクチンの接種施設の拡大については、災害時の対応についても確認しながら広げていきたい」と述べました。

「余りが出た場合 順次活用していく」

「先行接種用のワクチンに余りが出た場合には、先行接種以外の医療従事者の接種に順次、活用していく。厚生労働省は、医療従事者をおよそ370万人と推計しているが、あす、各都道府県から、医療従事者の数が報告される予定だ。それに応じて、各都道府県に配分するワクチン量を今週中にも決定していきたい」と述べました。

「効果や副反応 しっかり発信していきたい」

「いよいよ新型コロナウイルス対策の『切り札』と言われるワクチンの接種が始まるので、ベネフィットとリスクを正確に理解した上で、多くの方に接種して頂くことを期待したい。効果や副反応については、総理大臣官邸のホームページやツイッターのアカウント、また、テレビや新聞などのメディアを通じてしっかり発信していきたい」と述べました。

「6回採取できる注射器で対応する」

「自治体や医療機関に、手引きでは1瓶あたり5回と伝えたが、政府としては非常に貴重なワクチンなので、1瓶あたり6回とることができる特殊な針やシリンジの調達を進めているところだ。現在、必要量の確保に鋭意、努力をしているところだが、先行接種の対象となる4万人の2回分の接種は、この6回採取できる注射器で対応することができるようになっている」と述べました。

新たなシステム「自治体の負担は軽減されると期待」

接種状況を個人単位で把握できるについて「2回目の接種を別の自治体で受けたり、接種券を紛失したりした場合などに対応できると期待している。接種会場でバーコードを読み取るなど、ひと手間かかるが、住民からの問い合わせの対応が迅速化・効率化され、全体として、自治体の負担は軽減されると期待している」と述べました。

その上で、17日、新たなシステムについて、自治体向けの説明会を開催することを明らかにしました。

「高齢者 2か月と3週間で接種が終えられる目標」

「高齢者の接種に関しては、ワクチンの供給量をしっかり確保した上でお知らせしていく。4月1日より前に、接種が始まることはない。接種が始まれば2か月と3週間で接種が終えられる目標をもとに計画を立ててほしいと自治体にお願いしている。自治体の大きさや地理的状況も違うので、すべて終えられるかなかなかわからないが、その目標を頭に置いて体制づくりをお願いしたい」と述べました。

「今のところは接種の順番通りにスタート」

「安全性の観点などから私が率先して打て、ということであれば、やぶさかではないが、世論調査を見る限り、それなりの方が打ちたいと言っているので、今のところは、接種の順番通りにスタートして、特に問題はないのではないかと思っている」と述べました。

「国内で何らかの在庫を持った状況で進めたい」

「常に、国内で何らかの在庫を持った状況で進めていきたい。輸送の際に、万が一、温度の逸脱などが起きたときは、在庫の中から速やかに送ることを考える必要がある」と述べました。

その上で「アメリカを見ても、さまざまなことが起きている。何事もなくやってほしいとは思っているが、必ず何か起こると思う。都道府県などと協力しあいながら、どうカバーするかを考えていきたい」と述べました。

「自治体から個別接種の要望 なるべく柔軟に」

「当初はファイザーから『小分けにしないように』という話があったが、自治体から個別接種も認めてほしいという要望があり、ファイザーから了解を得てやることになった。北海道から沖縄まで、地理的状況も大きさもバラバラな1700の自治体にお願いするので、なるべく柔軟にやっていきたいし、要望に添えるような形にしていきたい」と述べました。

その上で「われわれも自治体もやったことがなく、今後も手探りでやっていかなければならない。大雨や地震が起きない保証もない中で、起きたときにどう対応するかという対応力が問われる。朝令暮改のところがあり、自治体に迷惑をかけているのはそのとおりだが、いかに柔軟にやれるか、しっかり対応できるよう努力していきたい」と述べました。

「若い世代の接種率 高めていきたい」

「接種率の目標は、田村厚生労働大臣と相談しながら決めていきたいと思っており、現時点ではまだない。高齢の方はワクチンを打ちたいという割合が世論調査でも非常に高いので、しっかりと情報を出しながら、接種率を高めていきたい」と述べました。

その上で「ワクチンの効用と副反応について、この感染症でどういうことが起きているかをきちんとお伝えして、若い世代の接種率を高めていきたい。高齢の方にテレビや新聞でリーチする必要があると思うし、若い世代はインターネットやSNS、あるいはそのほかのさまざまな媒体を利用して接種勧奨に努めていかなければいけない」と述べました。

「何が何でも1瓶あたり6回取りたい」

「去年の夏から1瓶あたり5回取るということで調整が行われ、通常、流通している針やシリンジを調達してきた。去年の年末にかけて、ファイザーから特殊な注射器を使えば6回取れるという連絡をもらったが、実際にやってみたら5回しか取れなかったので手引きを修正した」と述べました。

その上で「世界中で多くの方がワクチンを待っている中で、日本だけ廃棄されるようなことが起きないよう、何が何でも1瓶あたり6回取りたい。先行接種の4万人分は特殊な針やシリンジを確保したので、医療従事者やその後の高齢者の分についても何とか間に合わせたい」と述べました。

「高齢者の開始時期 状況は変わっていない」

高齢者への接種の開始時期について、記者団から、先月は「早くても4月1日以降」としていたスケジュールを、16日は「4月から接種を開始する」と説明した理由を問われたのに対し「ファイザーの供給数、EUの透明化のメカニズムできちんと承認が取れるかどうかということ、そして、ファイザーから供給を受けるものがどれくらい医療従事者への接種に使われることになるかなど、高次な連立方程式になっている」と述べました。

その上で「高齢者の接種をスタートするにあたって、弾切れを起こさないことが私は一番大事だと思っている。接種を予約したにもかかわらず自治体にワクチンがない場合は、予約した人にも迷惑がかかるし自治体にも迷惑をかけるので、それなりに在庫を積み上げた状況でスタートしなければならない。そういう意味で4月1日より前はないということを申し上げていて、その状況は変わっていない」と述べました。

「間違った情報流布も 政府も何らかの対応考えたい」

「正確な情報を出すことが一番大事だと思っているが、中には明らかに間違った情報が流布されることもあると思う。そういう際には、政府としても何らかの対応ができるようなことを考えていきたい」と述べました。

その上で「多くの医師や研究者が正確な情報を発信するための、緩いネットワークのようなものをつくり、それぞれ情報発信しているので、そういうグループとも連携できたらと思っている」と述べました。

「供給スケジュールお伝えできないこと 率直におわび」

「自治体が一番必要としている供給スケジュールや高齢者への接種の開始日程が、なかなかお伝えできないことは私も、もどかしく思っていて、率直におわびしなければいけない。できるかぎり、自治体に迷惑がかからないような形でスタートを切れるよう、いろいろと作戦を考えている」と述べました。

その上で「ファイザーのワクチンがどういうものか、しっかりと説明できるように発信していきたい。総理大臣官邸のホームページにも窓口をつくり、厚生労働省のホームページにもリンクをはった上で、少し難しく詳しい情報も、興味がある方に見てもらえるようにしたい。広報チームも少しギアを入れ替え、いろんな情報をいち早く出せるよう努めたい」と述べました。

「副反応の情報 正確に速やかに国民にお知らせ 」

「副反応についての政策は、田村厚生労働大臣が担当すると思うが、国として先行接種の調査を7週間行い、その後、ファイザー社が引き継ぐ。それ以外の接種も、副反応の情報は、医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構が集約し、速やかに公表することになっている。正確に、速やかに、国民にお知らせしていきたい」と述べました。

「6回採取注射器の間に合わなかった時 再利用できないと思う」

「高齢者への接種を遅らせるようなことはなるべくしたくない。万が一、高齢者の接種に1つの容器から6回分を採取できる注射器の調達が間に合わなかった時には、5回採取できる標準的なもので始めざるを得ない。その場合、シリンジなどの中に余ったワクチンはおそらく再利用できないと思う」と述べました。

「令和3年前半までに国民に必要な数量 確保目指す」

「政府の基本的な対処方針は、令和3年前半までに国民に必要な数量のワクチンの確保を目指すということで、これは変わっていない。ワクチンの確保を目指すと申し上げており、接種の時期について申し上げたことはない」と述べました。

厚生労働省に多言語の問い合わせ窓口

河野大臣は海外の報道機関向けに英語で記者会見し「外国人に対しても、住民登録をしている自治体から接種券が届く。また、住民登録がない外交団と家族も、申請をすれば接種できる。不明な点があれば、厚生労働省に多言語の問い合わせ窓口があるので、活用してもらいたい」と述べました。

また、記者団が東京オリンピック・パラリンピックまでの接種率の目標を質問したのに対し「ワクチンが到着ししだい、市町村に届けるのが私の仕事で、計画のなかで、東京大会は考慮していない」と述べました。