コロナ 退院基準満たした高齢患者 受け入れ施設に介護報酬加算

新型コロナウイルスの影響で病床がひっ迫する中、厚生労働省は症状が落ち着いた高齢の入院患者を介護施設で受け入れてもらおうと、介護報酬を臨時で上乗せすることを決めました。

高齢者が新型コロナウイルスに感染して入院した場合、入院中に身体機能や認知機能が低下して自宅での生活が困難になり、コロナの症状が落ち着いても退院がスムーズに進まない課題が指摘されています。

病床がひっ迫する中、厚生労働省は、こうした高齢者を介護施設で受け入れてもらおうと、介護報酬を臨時で上乗せすることを決めました。

対象となるのは、
▽特別養護老人ホーム
▽介護老人保健施設
▽介護医療院
▽介護療養型医療施設で、
退院基準を満たした高齢の入院患者を受け入れた場合、一日当たり5000円相当の介護報酬を最大30日間加算します。

自宅などにスムーズに帰れるよう、看護師など専門職による健康管理や、リハビリなどのサービスを提供することを想定しているということです。

以前からの入所者が退院して施設に戻ってきたケースは、加算の対象になりません。

厚生労働省は「医療機関を後方支援する役割を介護施設に担ってもらうことで病床に空きを作り、重症者がスムーズに入院できる体制を整えたい」としています。

都内では36の施設がすでに受け入れ態勢に

介護老人保健施設で作る全国老人保健施設協会によりますと、都内では36の施設が、こうした退院患者を受け入れる態勢をすでに整えているということです。

退院後の患者が、人にウイルスをうつす可能性は低いものの、これらの施設では念のため、一定期間、個室で隔離し、職員も感染対策をとることにしています。

費用負担は大きいということですが、協会は今回の加算を受け、全国の施設に受け入れを広げていきたいとしています。

全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は「介護施設でクラスターが発生しても、高齢者が入院できない事態が相次いでいる。退院患者を受け入れることで、より重症の高齢者の入院がスムーズに進むよう貢献したい」と話していました。