新型コロナ 函館 医療ひっ迫で入院断られた男性 翌日死亡

函館市で、新型コロナウイルスに感染した男性が、医療体制がひっ迫していたために病院から入院を断られ、その後、症状が悪化して死亡したことが分かりました。当時、函館市とその周辺では2つのクラスター=感染者の集団が発生していて、医療体制の手薄な地方都市の課題を改めて示しています。

死亡したのは1月、クラスターが発生した函館市の生活が困難な人を受け入れる施設、「明和園」に入所していた70歳の男性です。

施設関係者によりますと、男性は1月25日に中等症と診断されましたが、搬送先となるはずだった市立函館病院は、感染拡大による入院患者の急増を理由に入院を断ったということです。

このため施設で酸素の投与などを続けましたが、翌日の未明に男性は心肺停止の状態となり、救急車で市立函館病院に運ばれたものの、およそ2時間後に死亡したということです。

この施設で治療にあたっていた医師は「市立函館病院に患者の入院をお願いしても難しいと言われることがあり、結果として体調が悪化するケースが数件あった」と話しています。
函館市とその周辺では、市立函館病院が介護が必要な感染者や重症者の事実上、唯一の受け入れ先となっていて、当時この施設など2か所でクラスターが発生する中、新型コロナ患者専用の病床38床のうち20床が埋まり、医療スタッフが不足していたということです。

函館市病院局の氏家良人病院局長は「当時は救命救急センターの機能の停止を検討するほど医療体制がひっ迫していて、新たな患者を受け入れる余裕はなかった。病院の対応は間違っていなかったと考えている」と話しています。