株価 終値でも3万円超え 30年6か月ぶりの高値

週明けの15日の東京株式市場、日経平均株価は先週末に比べて560円余り値上がりし、終値でも3万円を超えました。いわゆる「バブル景気」のさなかの1990年8月以来、30年6か月ぶりの高値です。

週明けの15日の東京株式市場、去年10月から12月までのGDP=国内総生産の伸び率が市場の予想を上回ったことを手がかりに、取り引き開始直後から買い注文が膨らみました。

そして、午前9時20分すぎ、日経平均株価は先週末の終値に比べて400円以上値上がりし、3万円の大台に乗りました。

その後は利益を確定させるための売り注文も出ましたが、午後に入ると再び買い注文が優勢となりました。

結局、
▽日経平均株価の15日の終値は、先週末より564円8銭高い3万84円15銭でした。

終値で3万円を超えるのはいわゆる「バブル景気」のさなかの1990年8月以来、30年6か月ぶりです。

また、
▽東証株価指数=トピックスは20.06上がって1953.94。

▽1日の出来高は12億7591万株でした。

国内外の経済が回復に向かうとの期待が広がっていることに加え、各国の中央銀行が大規模な金融緩和を行い、大量の資金を供給し続けていることも株価を押し上げる要因となっています。

ただ、株価の値上がり幅は、この1週間で1300円を超えているため、市場関係者からは「実体経済の回復に比べて上昇ペースが速すぎるのではないか」と警戒する声も聞かれます。

大手証券トップがコメント

日経平均株価が終値で3万円を超えたことについて、大手証券会社のトップがそろってコメントを発表しました。

野村ホールディングスの奥田健太郎社長は「世界景気全体としては徐々に回復の兆しが確認され始めている。主要な中央銀行による大規模な金融緩和策もあり、外国人投資家の日本株買いが活発になると予想される。一方で、世界的な低金利に支えられている面や米中関係の行方など不安定な要素も多く、引き続き注視していく必要がある」としています。

大和証券グループ本社の中田誠司社長は「直近の株価上昇スピードには警戒感を指摘する声もあるが、コロナ後の企業業績の大幅な回復期待とアメリカのFRB=連邦準備制度理事会が主導する金融緩和が当面、併存することを考えると、まだ割高感はない」としています。

SMBC日興証券の近藤雄一郎社長は「今月に入り上昇スピードが速い日本株は、調整しながらもマクロ経済回復とともに株高が続くと見込む。ただ、アメリカの早すぎる金利上昇には注意したい。ワクチンが普及する前にウイルスの変異種が急拡大することもリスク要因だ」としています。

キリン 磯崎功典社長「実体経済の引き上げ必要」

ビールメーカー大手のキリンホールディングスの磯崎功典社長は、15日の決算会見で「個人消費は厳しいが中央銀行が株価を下支えする中、機関投資家が、高騰している株価に乗り遅れないようにしているという面もあると思う。そういった意味で実体経済とのかい離が生まれていると思う」と述べました。

そのうえで「実体経済を引き上げることが必要で、そのために個人消費の喚起が欠かせない。30年前は個人消費が旺盛だったが、いまは真逆で、多くの人が将来への不安を抱え節約志向が強まっている」と述べ、実体経済を回復させることが重要だと指摘しました。

各国の大規模な財政出動と金融緩和が追い風

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも株価の上昇が続いているのは、各国の大規模な財政出動と、中央銀行による金融緩和が追い風となっているためです。

【大規模緩和】
ウイルスの感染拡大で、去年2月から3月にかけて世界的に株価が大きく下落すると、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、事実上のゼロ金利政策を導入。

これに続いて日銀も、多くの株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れ額を倍増させるなど、金融市場に大量の資金を供給することを決めました。

各国の中央銀行による金融緩和策もあって、国債や社債などの利回りは低下。

運用面での魅力が薄れていることもあって、投資資金が株式市場に向かい株価を押し上げる要因になっています。

あふれたマネーは、株式市場だけでなく仮想通貨とも呼ばれてきた暗号資産にも流れ込んでいます。

代表的な暗号資産の1つビットコインの円建ての価格は14日の時点で1ビットコイン当たり512万円余りと、ことし始めと比べて69%上昇しています。

【財政出動】
株価上昇のもう一つの要因は、新型コロナウイルス対策として各国の政府が行っている巨額の財政出動です。

このうち、アメリカではバイデン政権が新型コロナウイルス対策として200兆円規模の経済対策を打ち出しているほか、日本も3回にわたって補正予算を編成するなど、各国政府が巨額の財政出動によって経済を下支えする姿勢を鮮明にしていることが投資家の安心感につながっているのです。

【特にIT系が大きく上昇】
終値でも3万円を超えた日経平均株価。

株価の上昇で目立っているのは情報通信や精密機器など、デジタル化やテレワークの進展の恩恵を受ける銘柄です。

こうした銘柄は感染拡大前の水準を大きく上回っています。

その一方で、新型コロナの影響を直接受ける空運や陸運などは感染拡大前の水準を大きく下回っていて、株価の二極化も鮮明になっています。

SMBC日興証券が東京証券取引所の1部に上場する3月期決算企業のうち、12日までに第3四半期の決算を発表した1444社の内容を分析したところ、
▽最終的な利益が「増益」の企業は、全体の38%にあたる552社だった一方、
▽「減益」は43%にあたる625社
▽「最終赤字」は18%にあたる260社でした。

専門家「あり余ったお金が行き先求め株式市場に」

株価上昇の要因について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「新型コロナウイルスへの対応として、各国の中央銀行が大量の国債や社債などを買って市中に流す金融緩和策や、大規模な財政政策を猛烈な勢いで継続していることで、あり余ったお金が行き先を求め株式市場に流れ込んでいる」と分析しています。

そのうえで「足元の経済だけ見ると、今の株高に違和感を持つ人もいると思うが、市場は実体経済より半年以上先を見る性格がある。この先、ワクチンの普及に伴って感染が収束に向かうことで、劇的に経済が回復するだろうと『先読み』をしている状態だ」と指摘しています。

今後の見通しについては「過去のバブルと違い、現在は半導体や電子部品などデジタル化の流れに対応した企業を中心に株価が値上がりしており、大きな意味での上昇トレンドが継続する可能性が高い。ただ、一部の個人投資家による投機的な取り引きなど、有り余ったマネーによる副作用が大きくなると、中央銀行の政策の変更にもつながりかねず、注意して見る必要がある」と述べています。

中小経営者「全く実感ない」

日経平均株価が30年6か月ぶりに3万円台を回復しましたが、新型コロナウイルスの打撃を受ける中小の事業者からは「全く実感がわかない」という声も聞かれました。

東京や神奈川で進学塾や飲食店を経営する山下和幸さんは、およそ3400の中小企業が加入する「東京商工会議所大田支部」で青年部の幹事長を務めています。

幅広い業種の中小事業者の相談に乗ったり、アドバイスをしたりしています。

日経平均株価が30年6か月ぶりに3万円台を回復したことについて、山下さんは「全く実感がわかない。業績が右肩上がりだったのが30年前のバブルの象徴だったが、今は経営者と話していても『景気がいいよ』とか『お金が回っている』などと言う人はいない。どんどん資金が底をつき、仕事も目減りしている。緊急事態宣言が解除されても1か月、2か月では景気は戻らず、1年以上、我慢を強いられると思って戦略を練っている人が多い。株価の動向と中小事業者との間には大きなギャップがある」と話し、株価と実体経済の状況はかけ離れているという考えを強調していました。

東証1部の時価総額 724兆1632億円 過去最大を更新

日経平均株価が3万円を超えたことで、東京証券取引所1部に上場している2193社の株式全体の時価総額は、15日時点で724兆1632億円となりました。

5営業日連続で過去最大を更新しています。

西村経済再生相「企業の将来の収益の期待が反映」

日経平均株価が30年6か月ぶりに3万円を超えたことについて、西村経済再生担当大臣は15日の会見で「株価は、企業を評価する時に半年先の収益を見る先行指標と言われている。企業の将来の収益の期待が反映されていると思うので、マーケットの評価は素直にポジティブに受け止めたい」と述べました。