スキージャンプW杯 小林 今季初優勝 日本選手最多勝利並ぶ

スキージャンプ男子のワールドカップは、13日、ポーランドで個人の20戦目が行われエースの小林陵侑選手が今シーズン初めて優勝しました。小林選手は、日本選手のワールドカップ最多勝利数の通算「17」勝に並びました。

スキージャンプ男子のワールドカップ、個人の20戦目は13日、ヒルサイズ140メートルのラージヒルで行われ、日本勢は、エースの小林選手をはじめ4人が出場しました。

小林選手は1回目に136メートル50を飛びトップと4.8ポイント差の4位につけました。

逆転を目指した2回目では、134メートル50をマークして合計ポイント268.9とし3人を残してトップに立ちました。

続いて飛んだ3人が小林選手を上回ることができず、2位との差、わずか0.3ポイントで小林選手は今シーズン初優勝を果たしました。

これで小林選手は、ワールドカップの通算勝利数を「17」勝とし、葛西紀明選手が持つ日本選手の最多勝利に並びました。

このほか佐藤幸椰選手が12位、佐藤慧一選手が16位、中村直幹選手は28位でした。

小林陵侑 持ち味はダイナミックなジャンプ

小林陵侑選手は、岩手県八幡平市出身の24歳。

盛岡市にある盛岡中央高校でジャンプとクロスカントリーで競うノルディック複合にも取り組みました。

高校卒業後は、葛西紀明選手が監督を務める札幌市の土屋ホームに所属し、ジャンプ競技に専念しました。

その後、2018年のピョンチャンオリンピックのノーマルヒルで7位に入るなど飛躍のきっかけをつかみました。

オリンピックの次の2018年ー19年のシーズンには、ワールドカップ第2戦で初優勝を果たすと、年末年始に行われる伝統の「ジャンプ週間」で4戦全勝での総合優勝という史上3人目の快挙を達成したほかシーズン「13」勝の圧倒的な強さでワールドカップ総合優勝も成し遂げました。

ワールドカップのスキージャンプ男子で日本選手の総合優勝は、初めての快挙でした。

昨シーズン(19年ー20年)は腰痛などケガに悩まされ3勝したものの、個人総合3位となりました。

持ち味は、高い運動能力を生かしたダイナミックなジャンプで、プレッシャーのかかる2回目にヒルサイズを超えるような大きなジャンプを出す勝負強さも持ち合わせています。

兄の潤志郎選手と姉の諭果選手、それに弟の龍尚選手もジャンプの選手で、スキー界では、「小林4きょうだい」としても知られています。

「これまでで1番自信がない」

「これまでで1番自信がない」。新型コロナウイルスの影響で、異例の調整が強いられた小林陵侑選手は去年11月、ワールドカップへ出発する直前のインタビューで珍しく弱気な一面を見せました。

今シーズンは感染拡大の影響でこれまでとはまったく異なる調整方法を強いられました。

例年は開幕までに海外遠征をして雪上でジャンプの感覚をつかみますが、去年2月にワールドカップが中断して以降、今シーズンの開幕直前まで一度も雪上での大会出場や練習ができませんでした。さらにヨーロッパのライバル選手の細かな情報も入らなかったということです。

それでも小林選手は、海外遠征ができなくなった時間を利用し、技術面での見直しを始めました。スタートゲートから踏み切り台までの助走路でのアプローチ姿勢の修正です。

助走路でのアプローチが安定せずジャンプにばらつきが出ると感じていた小林選手は踏み切り台で飛び出す時わずかに尻の位置を下げて重心が低くなった分、力が伝わるように意識したのです。

こうして迎えた今シーズン、小林選手は雪上での練習不足に加え、ヨーロッパのライバル選手の状況がわからず、出発前には「みんなのジャンプを間近で見られていないので自分がどの位置にいるかわからない。結果が怖いし自信がない」と話しました。

去年11月の開幕戦で27位、その後も1回目のジャンプで上位30人以内に入れない日や、ふた桁順位となる日もあるなど苦戦を強いられました。

ことしに入ってからは徐々に調子を上げていて、先月、ポーランドで行われた大会では、今シーズン最高の6位に入っていました。

ワールドカップでの目標については必ず「先のことは考えずまず1勝」と話し目の前の大会だけに集中して臨む姿勢を崩さなかった小林選手。

感染拡大の影響で国内でのワールドカップが中止が決まり、シーズン中に一度も帰国せず長期間の海外遠征が続く異例のシーズンでなかなか結果が出ない中でも、試行錯誤を続けながら辛抱強く戦い続けた結果“レジェンド”と呼ばれる葛西選手に並ぶ偉業を達成しました。