“撤回”“延期” “退任・辞任” 東京五輪・パラのこれまで

東京オリンピック・パラリンピック。2013年9月に招致が決まってから、これまでの経緯をまとめました。

招致決定

東京大会は2013年9月2020年東京大会の開催が決まったのは、2013年9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレス開かれたIOC総会でした。
東京は、財政基盤が安定していて世界で最も安全な都市であることをアピール。最終プレゼンテーションでは、福島第一原子力発電所の汚染水の問題について、当時の安倍総理大臣が「完全にブロックされている」と説明し対策について責任を持つと表明しました。

国立競技場をめぐって

2011年11月。東京大会のメインスタジアムとなる新しい国立競技場のデザイン案にイギリスに事務所を置くイラク人の女性建築家、ザハ・ハディドさんのデザインが選ばれました。
しかし、この年の7月、当時の安倍総理大臣は、建設費が膨らんだことに対する批判が強まっていることを踏まえ計画をゼロベースで見直す方針を表明。新たな整備計画の取りまとめが進められ、この年の12月、建築家の隈研吾さんと大成建設、それに梓設計で作るグループが設計と施工を行うことが決まりました。
2019年11月30日、新しい国立競技場が完成。外周に47都道府県の木材を作った「軒庇(のきびさし)」を取り付けるなど、伝統的な日本建築の技法を取り入れたデザインが特徴で、神宮外苑の緑との調和を意識した「杜のスタジアム」と紹介されています。

エンブレムをめぐって

2015年7月24日。アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした大会エンブレムが発表されました。
しかし発表の直後にベルギーのグラフィックデザイナーが、以前作ったベルギーの劇場のロゴマークに極めて似ていると主張。その後、組織委員会は「一般国民の理解は得られない」としてエンブレムを白紙撤回しました。
改めてエンブレムが決定したのは2016年4月で、アーティスト、野老朝雄さんの市松模様と藍色が特徴のデザインが選ばれました。

招致めぐる贈賄疑惑

2018年12月、フランスの裁判所が、東京大会の招致をめぐる贈賄疑惑で、招致委員会の理事長だったJOCの竹田恒和前会長について、裁判を開くかどうかどうかを判断するための手続きを開始し、予審判事がフランスで竹田会長本人を聴取したことが明らかになりました。
竹田前会長は、2019年1月に会見を開き潔白を主張しましたが、3月、「今回世間を騒がせたことを大変心苦しく思っている」として会長を退任することを表明しました。

マラソン・競歩の札幌移転

2019年10月16日、IOCがマラソンと競歩の会場を札幌に変更することを検討していることを明らかにしました。理由は、東京の“暑さ”。バッハ会長は「アスリートファースト」を最優先に考えて検討を始めたと説明しましたが、日本の関係者からは「なぜ今になって」という戸惑いの声があがり、東京都の小池知事も「かなり唐突な話だ」と驚きを隠しませんでした。
しかし突然の発表からわずか半月余りの11月1日、札幌への会場変更が決定。小池知事は「あえて申し上げるならば、合意なき決定だ」と強調しました。

史上初の1年延期

新型コロナウイルスの感染が世界に拡大した2020年2月27日、IOCのバッハ会長は、緊急の電話会見で大会を予定どおり開催することを強調しました。
3月11日、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は会見で「新型コロナウイルスはパンデミックといえる」という認識を表明。
オリンピック・パラリンピックの代表選考会や国際大会などが各地で延期や中止となり、また選手が練習場所を確保できないといった影響も深刻となっていきました。
そして3月24日、当時の安倍総理大臣とIOCのバッハ会長が電話会談を行い、東京大会を1年程度延長することで合意しました。
3月30日、IOCは大会の延期日程を、オリンピックは2021年7月23日に開幕する17日間、パラリンピックは2021年8月24日に開幕する13日間の日程と決めました。
またオリンピックの聖火は、3月12日ギリシャでの採火式が行われたあと、20日に宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に到着しました。しかし、スタート2日前の24日、東京大会を1年程度延期することになり、合わせて聖火リレーの中止が決まりました。

組織委 森会長 “女性蔑視”と取れる発言で

2021年2月3日、組織委員会の森会長がJOCの評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」、「女性というのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと自分も言わなきゃいけないと思うのだろう。それでみんな発言する」などと女性蔑視と取れる発言をしました。
これに対し批判の声があがり、森会長は4日に開いた記者会見で、こうした発言を撤回して謝罪。一方で「辞任する考えはありません」と述べ、会長の職を続ける意向を示しました。
しかし、その後、選手や有識者、スポンサー企業などからも批判や非難の声がやむことはなく、ボランティアや聖火ランナーを辞退する人が相次ぐなど波紋は広がりました。
また森会長の謝罪によって「この問題が収束した」とコメントしたIOCは、9日、公式の声明で、「完全に不適切なものだ」と一転して厳しいことばで非難しました。
11日、森会長は、みずからの発言をめぐって、影響が広がっていることの責任をとりたいとして、会長職を辞任する意向を固め、関係者に伝えました。
12日、森会長は組織委員会の緊急の会合で「きょうをもちまして会長を辞任いたそうと思います」と述べ、みずからの女性蔑視と取れる発言の責任を取って会長を辞任する考えを明らかにしました。