新型コロナ 米ファイザー開発のワクチンが国内到着

アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンが、12日午前、成田空港に到着しました。ワクチンは、有効性などが確認されれば14日にも国内で初めての新型コロナウイルスのワクチンとして正式に承認され、医療従事者への先行接種が始まります。

ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンは、政府が7200万人分の供給を受ける契約をファイザーと結んでいます。

このワクチンを載せた航空機の第1便が、11日、製造工場があるベルギーの空港を出発し、12日午前、成田空港に到着しました。

ファイザーが開発したワクチンは12日、厚生労働省の専門家部会で有効性や安全性などが議論され、承認が了承される見通しです。

そして、14日にも、田村厚生労働大臣が、国内で初めての新型コロナウイルスのワクチンとして正式に承認する見込みです。

その場合、来週半ばに、医療従事者を対象にした先行接種が始まります。

さらに4月以降は高齢者の接種が始まり、その後、基礎疾患のある人や高齢者施設の従事者などを優先して順次、接種が進められます。

ワクチンはマイナス75度前後で保管され、今後、各地の医療機関などに運ばれます。

DHL責任者「日本には毎週輸送する計画ある」

ワクチンの日本への輸送について、ベルギーに拠点を持つ国際物流大手DHLの責任者は、NHKのインタビューに応じ、専用の箱に入れた新型コロナウイルスのワクチンを日本時間の11日夜、ブリュッセルの空港から日本に向かう航空便に積み込んだことを明らかにしました。

ワクチンの種類については明らかにしていませんが、ベルギー国内に工場があるアメリカの製薬大手、ファイザーなどが開発したワクチンとみられます。

責任者によりますと、ワクチンはドライアイスが詰められた専用の箱でおよそマイナス70度に保たれた状態で工場からDHLの配送拠点に届き、中に入った特別なセンサーで箱の中の温度を監視できるようになっているということです。

この責任者は「今回は日本向けの初めての輸送で、日本市場に届けられることをうれしく思う。製薬会社からの供給しだいではあるが、日本には毎週輸送する計画がある」と話し、今後も製薬会社からワクチンが届きしだい、順次日本に輸送することを明らかにしました。
日本への輸送を担当している国際物流大手DHLの責任者によりますと、ワクチンは専用の箱に収められ、工場から出荷される時点で23キログラムのドライアイスが入れられているということです。

また、箱の中には温度を感知するセンサーが組み込まれていて、このセンサーが工場からの出荷後、輸送中も温度を監視し、そのデータは製薬会社側に送られるということです。

1つの箱にはワクチンが入ったボトルが合わせて975個、入るということで、1つのボトルで5回接種する場合、1箱に4900回分近いワクチンが収められるということです。

DHLの担当者の説明では、日本への初めての輸送で航空機に積み込んだのは69箱だということです。

厚労省 副反応のデータ集積 情報公開も

新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、海外の治験で、接種した部位の腫れや頭痛、けん怠感、筋肉痛などの症状が見られたと発表されています。

また、海外の接種では、まれな頻度で「アナフィラキシー」というアレルギー反応が出たケースも報告されています。

アレルギー反応によって◇じんましんなどの皮膚症状や◇腹痛、おう吐などの消化器症状、それに◇息苦しさなどの呼吸器症状が急に起こることも想定されます。

厚生労働省は、国内でも接種に伴う副反応が予想されることから、先行して接種が始まる医療従事者およそ1万人を対象に、2回目の接種を受けてから4週間・28日が経過するまで体温や接種部位の状態などを医療機関で観察し、副反応に関するデータを集めることにしています。

また、今後、接種が予定されている高齢者や一般の人の一部でも接種後の健康状況を調べ、情報を公開することにしています。

さらに、副反応が疑われるケースについては、医療機関に報告を求めるほか、通常の予防接種と比べ高い頻度で専門家による審議会を開くなどして、安全性に関する評価を行う方針です。

一方、副反応に対する救済制度も設けられていて、健康被害が確認された場合には、法律に基づき、医療費の支給などが行われます。