専門家会合“新型コロナ診療と通常医療 両立困難な状況続く”

新型コロナウイルス対策の助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染状況について「新規感染者数は先月中旬以降減少傾向になっている」と分析したうえで、入院者や重症者の数も減少傾向が明確になっていると評価しました。その一方で、都市部を中心に新型コロナの診療と通常の医療の両立が困難な状況が続いているとして、感染の再拡大を防ぎ、今後のワクチン接種に向けて医療機関の負担を減らすためにも対策の徹底が必要だとしています。

11日開かれた会合では、緊急事態宣言の対象になっている10の都府県の状況を中心に分析が行われ、先週開かれた会合に続いて、「新規感染者数は1月中旬以降、減少傾向となっている」と分析し、入院者や重症者の数についても減少傾向が明確になり、亡くなる人の数も減少の動きが見られるとしています。

その一方で、感染者数に占める60歳以上の人の割合が増えてきているため、重症者数の減少が遅くなる可能性があるとしたほか、都市部を中心に新規の感染者数がまだ多い状態が続き、新型コロナの診療と通常の医療の両立が困難な状況が続いているほか、高齢者施設でのクラスターの発生も続いているとしています。

このうえで、専門家会合は緊急事態宣言のもとでの人の動きの減少傾向が鈍化しているとしたうえで、感染の再拡大を防ぎ、今後のワクチン接種に向けて医療機関の負担を減らすためにも対策の徹底が必要だとしています。

このほか、感染力が高いとされる変異ウイルスに感染した人が複数の地域にまたがって見つかるケースも起きているため、感染者を早期に見つけ、感染経路や接触した人を特定し、速やかに拡大を防ぐことなどが求められるとしています。

脇田隆字座長は「ここにきて、いくつかの自治体で新規感染者の数が下げ止まりのような状態になるなど、感染者の減少傾向が鈍くなってきているという指摘もあった。緊急事態宣言の延長以降、人出が増えてきているところも見られる。医療の厳しい状況は続いているため、対策の徹底で感染者数をしっかり下げることを目指さないといけない」と話しています。