アストラゼネカなどのワクチン 接種メリット強調 WHO諮問委

WHO=世界保健機関の諮問委員会は、製薬大手アストラゼネカなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて「接種を推奨しない理由はどこにもない」と述べ、南アフリカで確認された変異ウイルスに対して効果が限定的だという見方もある中、接種によるメリットがリスクを上回ると強調しました。

イギリスの製薬大手アストラゼネカなどが開発したワクチンをめぐっては、初期段階の臨床試験の結果、南アフリカで確認された変異ウイルスに対し、軽度から中程度の症状を防ぐ効果は低い可能性があるとして、南アフリカ政府が接種の開始を一時的に見合わせています。

予防接種に関してWHOに助言する諮問委員会は10日、記者会見を開き、クラビオト委員長は、このワクチンについて臨床試験の結果、南アフリカで確認された変異ウイルスに対し軽度から中程度の症状を防ぐ効果は著しく下がった一方、重症化リスクを評価できるだけのサンプル数は得られなかったとしました。

そのうえで「完全な予防効果がなかったとしても、変異ウイルスの感染が広がる国々で接種を推奨しない理由はどこにもない」と述べ、各国は計画どおり接種を進めるべきだと勧告しました。

また、このワクチンをめぐっては65歳以上の高齢者について有効性のデータが不足しているとして、ヨーロッパで接種を控える動きが相次いでいますが、諮問委員会の事務局を統括するホンバック博士は、高齢者の免疫反応は若い年齢層とほとんど変わらないとして、高齢者も接種を受けるべきだと指摘しました。

さらに主任科学者のスワミナサン氏は、感染が拡大する中、多くの国ではアストラゼネカのワクチンが、供給される最初のワクチンになる可能性があるとして、接種によるメリットがリスクを上回ると強調しました。