「まん延防止等重点措置」とは? 「緊急事態宣言」との違いは

新型コロナウイルス対策の改正特別措置法の施行を前に、政府は、9日の閣議で、新たに設けられた「まん延防止等重点措置」を講じる要件などを定めた政令の改正を決定しました。

新たに設けられた「まん延防止等重点措置」とはどのような措置で、「緊急事態宣言」とはどう違うのでしょうか。

「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」違いは?

今月13日に施行される新型コロナウイルス対策の改正特別措置法では「まん延防止等重点措置」が新設されます。緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にするものです。宣言との違いをみてみます。

【対象地域】
緊急事態宣言は、都道府県単位で出されます。
一方、重点措置は、政府が対象とした都道府県の知事が、市区町村など特定の地域を限定することができます。

【適用の目安】
宣言は感染状況が最も深刻な「ステージ4」に相当するかどうかが目安になります。
重点措置は、「ステージ3」が想定されていますが、感染が局地的に、急速に広がっている場合は、「ステージ2」での適用もありえるとしています。

【「まん延防止等重点措置」を講じる要件は】
政府は、9日の閣議で、特別措置法に関係する政令の改正を決定しました。

それによりますと、「まん延防止等重点措置」を講じる要件については、新規陽性者数などの状況を踏まえ
▽都道府県で感染の拡大のおそれがあり
▽医療の提供に支障が生じるおそれがあると認められることと定めています。

都道府県が飲食店などに行うことができる措置

「まん延防止等重点措置」のもとで、都道府県が飲食店などの店舗や施設に対して行うことができる措置としては、
▽従業員への検査受診の勧奨
▽入場者の整理
▽発熱などの症状がある人の入場の禁止
▽入場者へ感染防止のための措置の周知と、それを行わない人の入場禁止などを定めています。

加藤官房長官 「円滑な施行に努める」

加藤官房長官は午後の記者会見で、政令を改正するにあたって今月4日からおとといまで一般から意見を募集した結果、およそ3000件が寄せられたと明らかにしました。

そのうえで「『まん延防止等重点措置を講じるべき事態がどのような場合かわからない』といった意見もあった。わかりやすく周知するなど、円滑な施行に努める」と述べました。

また、記者団が、意見募集の期間は十分だと考えるかと質問したのに対し「やむをえない理由があるときは30日を下回る期間を定めることができるとされている。今月13日の施行であり、限られた期間での意見募集とならざるを得なかった」と述べました。

西村経済再生相「知事と緊密に連携し対応」

新型コロナウイルス対策の改正特別措置法の施行を前に、西村経済再生担当大臣は、全国知事会の飯泉会長とテレビ会議を行い「まん延防止等重点措置」などが新たに設けられたことを踏まえ、連携して運用にあたる考えを伝えました。

この中で、西村経済再生担当大臣は、改正特別措置法で新設された「まん延防止等重点措置」について「緊急事態宣言を解除したあと、都道府県内のある地域で感染の水準が高いような場合にも活用できると考えている。感染状況や医療提供体制など、知事と緊密に連携をとりながら対応したい」と述べました。

一方、改正法で、都道府県知事が事業者に要請や命令を行い、応じない場合に罰則が設けられたことについて、西村大臣は、知事は要請や命令を行う必要があるかどうか、あらかじめ学識経験者の意見を聴かなければならないことなどを説明し「丁寧な手続きと手順を踏んで、運用していただきたい」と求めました。

これに対し飯泉会長は「感染が一気にリバウンドしないよう、しっかり運用したい」と応じ、改正法を運用する上でのガイドラインを早期に示すことや、事業や雇用を維持するためにさらなる支援策を講じることを要望しました。