生活保護申請の際の「扶養照会」 見直し求め要望書提出

新型コロナウイルスの影響で生活に困窮する人が相次ぐ中、親族に問い合わせる「扶養照会」を理由に生活保護の申請をためらうケースがあるとして、支援団体が運用の見直しを求める要望書を厚生労働省に提出しました。

提出したのは東京都内の支援団体で「扶養照会」の運用見直しを求める要望書とおよそ3万5800人分の署名を厚生労働省の担当者に手渡しました。

「扶養照会」は、生活保護の申請をした人が援助を受けられる可能性がある親族に自治体が問い合わせることです。

しかし「家族に知られたくない」など、「扶養照会」を理由に生活保護の申請をためらう人が相次ぎ、支援団体では先月からネット上で署名活動を行ってきました。

要望書では申請する人が承諾し親族からの援助が明らかに期待できる場合だけ「扶養照会」を行うことや、生活保護の利用を難しくしている要因などについて国として調査を行うことを求めています。

厚生労働省は「扶養照会」が生活保護の要件であるかのような説明を行うことは不適切だと自治体に改めて通知しています。

また現在は「扶養照会」をしなくてよいのは親族と20年以上にわたって連絡をとっていないなどのケースとしていますが、現状を踏まえてどう見直すべきなのか、検討を進めているということです。

支援団体「つくろい東京ファンド」の稲葉剛さんは、「必要な支援が届くように国には対応を検討してほしい」と話しています。

田村厚生労働相「基準を整理して示す」

田村厚生労働大臣は、衆議院予算委員会で「扶養照会」をしなくてもよいケースについて「家族としての関係が壊れているという1つの基準に『20年間、音信不通』というのはあるが、電話も簡単に使えない時代の認識だ。本当に家族の関係が壊れているのはどういう場合か、整理して検討しているので、なるべく早く、示したい」と述べました。