新型コロナワクチン 安全輸送のための指針作成へ 厚労省

新型コロナウイルスのワクチンの接種を進める上で課題となるのが接種する施設への「輸送」です。厚生労働省は、運送業者に委託することを認めていますが、慎重な取り扱いが必要で、自治体からも問い合わせが寄せられていることから安全に輸送するための指針を作成する方針を決めました。

アメリカの製薬大手ファイザーのワクチンについて、厚生労働省は、医療機関などで専用の冷凍庫を使ってマイナス75度前後で保管し、必要に応じて2度から8度の冷蔵状態で、接種を行う診療所などに輸送するよう自治体などに求めています。

厚生労働省は、輸送にかける時間を原則3時間以内としたうえで運送業者に委託することも認めていて、一部の自治体はバイク便やトラックでの輸送も計画しているということです。

一方、ファイザーの担当者はNHKの取材に対し「輸送には慎重な取り扱いが必要で、冷凍していない状態でバイク便などで運んだ場合の品質を保証するデータはなく、必ずしも推奨できない」としています。

また、厚生労働省には、輸送方法に関する問い合わせが自治体から寄せられているということです。

このため、厚生労働省は、ワクチンを安全に輸送するための指針を新たに作成する方針を決めました。

すでにファイザーとも協議を始めていて、今月中(2月)に自治体や医療機関に示すことにしています。

カナダでは詳しい輸送指針

ファイザーのワクチンの輸送について、海外ではすでに詳しい指針を設けているところもあります。

カナダのサスカチュワン州の保健当局は、解凍したワクチンを冷蔵状態で輸送する際、衝撃を与えすぎると品質が損なわれて、有効性にも影響しかねないとしています。

このため、ワクチンに衝撃や振動をできるだけ与えないよう、移動距離を最小限にして砂利道でなく舗装された道路を通るべきだなどとしています。

また、同じカナダのオンタリオ州の保健当局も、ワクチンを衝撃や振動から可能なかぎり守る必要があるとしたうえで、輸送は訓練を受けた医療機関や保健所のスタッフか、低温状態での輸送を専門にする運送業者が行うべきだとしています。