まもなく花粉が多く飛ぶ時期 コロナ禍でどう対応?

花粉が多く飛散する時期が近づいていますが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大で、花粉症でかゆい目に触ることで感染リスクがあるほか、くしゃみなど紛らわしい症状も出るときにどう対応すればよいかという悩みもあります。
専門の医師は、薬を予防的に使ったり、外出の際にはマスクやゴーグルで花粉の取り込みをできるだけ防いだりして対応してほしいとしています。

“くしゃみするとコロナと誤解されそう” 医師に相談が

東京 品川区にある耳鼻咽喉科の診療所の遠藤朝彦院長は、花粉症の正確な診断につなげようと、35年前から診療所の屋上に観測器を設置して毎日、花粉がどれだけ飛散しているか計測しています。

プレパラートに付着した花粉の数を顕微鏡で見て種類ごとに数えていて、遠藤院長によりますと、6日までの観測では多くの人が花粉症を発症するほどには飛んでいないものの、まもなく「飛散が始まった」と判断されるレベルまで増えるとしています。

遠藤院長のもとには花粉症の患者から、くしゃみなどの症状が出ると、新型コロナウイルスと誤解されそうだとして、どう対策すればよいか相談が寄せられているということで、花粉症の症状が強く出る場合は、外出を控えることや、外出時はマスクやゴーグルを着けて花粉の取り込みを防ぐこと、それに薬を予防的に使うことなどをアドバイスしているということです。

遠藤院長は「飛散が本格化する前や症状が比較的軽いうちに、専門の医者の診断を受けて、薬で予防的に治療することが大切だ」と話しています。

スギ花粉飛散ピーク 今月下旬から

環境省は、花粉の飛散状況について、九州から関東にかけての観測に基づいたデータを専用のウェブサイトで公開しています。

それによりますと、
▽東京都新宿区では7日の午後2時台に1時間の平均で1立方メートル当たり61個の花粉が観測されたほか、
▽鹿児島県鹿屋市では午後1時台に200個、
▽長崎県佐世保市では午後1時台に102個の花粉が観測されました。

日本気象協会が公表しているこの春の花粉の予想によりますと、
スギ花粉の飛散のピークは
▽福岡で今月下旬から来月上旬
▽高松と広島、名古屋では来月上旬から中旬、
▽大阪は来月上旬、
▽東京は来月上旬から下旬、
そして
▽金沢と仙台では来月中旬から下旬で、
スギ花粉のピークが終わると、それぞれの地域でヒノキの花粉の飛散が始まるということです。

花粉の量は例年に比べると少ないものの、去年よりは多いところがほとんどと予想されています。

マスクやゴーグル コロナと似ている花粉症対策

花粉症に詳しい、東京 品川区の遠藤耳鼻咽喉科・アレルギークリニックの遠藤朝彦院長によりますと、花粉症の対策は新型コロナウイルス対策と似ている部分があるとしています。

花粉症でも外出を控えることが最も有効で、屋外では一般的な不織布のマスクで鼻から吸い込む花粉の多くを防げるほか、目からの取り込みを防ぐためゴーグルや眼鏡を着けることも効果的だということです。

花粉症は症状が重くなってからだと治療に時間がかかるため、症状が比較的軽い段階で早めに専門の医師の診察を受け、薬で治療することが重要だとしています。

また、新型コロナの感染予防について、花粉症の患者はかゆい目や鼻を手で触りがちで手にウイルスが付着していると感染するおそれや、新型コロナに感染していた場合には周りの人に感染させるおそれもあるため、こまめに手を洗ったり消毒したりするほか、マスクやゴーグルを着けて触らないようにすることが重要だとしています。

さらに新型コロナ対策で求められる換気については、花粉は3分ほどで床に落ち、激しく動き回らないかぎり舞い上がることはないとして、定期的に換気をしても大きな問題はないとしているほか、気になる場合は、室内でもマスクをすることや定期的に床を水拭きしたうえで、から拭きすることが効果的だとしています。

花粉症の患者がくしゃみをすると新型コロナに感染しているのではないかと誤解されるおそれもありますが、遠藤院長は「本人の問題ではないが、疑われる場合は診断を受け、自分が花粉症であると周りに伝えることも重要だ」と話していました。