「在籍型出向」拡大へ 企業に賃金助成する新制度 厚労省

雇用を維持したまま業績が悪化した企業から別の企業に従業員を出向させる「在籍型出向」を広げようと、厚生労働省は1日1万2000円を上限に賃金などを助成する新たな制度を設けました。

「在籍型出向」は雇用契約を維持したまま従業員を別の企業に出向させるもので、新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、雇用を守る取り組みとして広がっています。

厚生労働省は、業績の悪化などで従業員を一時的に出向させた企業と、受け入れた企業の双方を対象とした「産業雇用安定助成金」を新たに設けました。

具体的には、出向を進めるための教育訓練や備品整備などの経費として、従業員1人当たり10万円が双方の企業にそれぞれ助成されます。

感染拡大の影響が特に大きい航空や飲食、宿泊などの企業が従業員を出向させたり、異なる業種から受け入れたりする場合は1人当たりさらに5万円が助成されるということです。

そして、先月1日からの出向に対して賃金などについては双方の企業に合わせて1日1万2000円を上限に中小企業は最大90%、大企業は最大75%が助成されます。

企業が1年間に出向の助成支援を受けられるのは最大で500人だということです。

厚生労働省は「出向元と出向先の企業のマッチングについても関係機関で無料で支援をしているので、助成金の制度を活用し雇用の維持につなげてほしい」としています。