緊急事態宣言からまもなく1か月 影響は興行やエンタメ業界にも

緊急事態宣言が出されてからまもなく1か月。影響は興行やエンタメといった世界でも続いています。
宣言の対象地域で興行をしているプロレス団体は、開始時間を繰り上げたり、試合数を減らしたりと試行錯誤を続けています。

人気プロレス団体の「DRAGONGATE」は5日夜、都内で興行をしましたが、午後8時をめどに終えるため、当初の予定を30分早め、午後6時の開始としました。

また、ふだんは10分程度設けられる休憩の時間もなくなったほか、試合数も通常より1試合から2試合少ない6試合でした。

このほか、感染拡大を防ぐため座席やパイプいすは前後左右が空席とされたほか、プロレスにつきものの大きな声援は控えるよう呼びかけられ、観客は座ったままで大きな拍手を送っていました。

メーンのタッグマッチに出場したYAMATO選手は「時間を気にしながらとなるとどんどん攻めなければいけないのですごく疲れますが、お客さんが苦しい状況の中でも見に来ていただいているので、今まで以上に命を削る思いで試合をしないといけない使命感です」と話していました。

団体では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、去年の3月下旬から6月まではすべて無観客で行ったほか、その後も多くの興行で客席数を減らしたことから、去年の売り上げは例年の半分ほどに落ち込んだということです。

「DRAGONGATE」の木戸亨社長は「お客さんを入れてやれること自体がありがたい話なので、変化に対応しないといけないと考えています。売り上げも落ち込みましたが、なんとかこの苦境を乗り切り、満員のお客さんを入れられる日が来るまで、しっかり頑張っていきたい」と話していました。

苦境のエンタメ業界 安心できる環境づくりへ模索続く

エンタメ業界でも苦境が続いています。

イベントやコンサートを主催する企業などで作る団体は出演者や観客の双方に抗原検査を実施する方針で、少しでも安心してもらえる環境づくりに向け、模索を続けています。

政府は今回の緊急事態宣言の基本的対処方針で、イベントについては、人数の上限や収容率のほか、飲食を伴わないといった要件を定め、それに沿った開催を要請しています。

イベントやコンサートを主催する企業などで作る「コンサートプロモーターズ協会」によりますと、所属する企業は、方針に沿って座席の間隔を空けるなどの対策をとり、時間についても極力午後8時までに終わるよう前倒ししていますが、チケットのキャンセルは相次いでいるということです。

また、1度目の緊急事態宣言が解除されたあとの去年の夏から秋にかけても、大規模なライブや地方公演はほぼ開けなかったということで、アーティストだけでなく、音響や照明、舞台といった専門職の人たちは働く場所が激減し、非常に厳しい状況だということです。

協会は今後、コンサートなどのイベント時には、すべての出演者や観客に対して簡易キットを使った抗原検査を行う方針で、少しでも安心してイベントが開催できる環境を整えていきたいとしています。

「コンサートプロモーターズ協会」の中西健夫会長は「『不要不急』というジャンルに入れられ、負のイメージがついたままです。『配信メインになっていくからいいじゃないか』という発言をする人が結構いますが、『何言ってんだ』という思いです。コンサートをやるにあたってはありとあらゆるジャンルの人が関わっていて、今は働きようがなく、大変困っています。コロナとどこまで耐えられるか競争をしていると思っています」と話していました。