「感染者立ち寄りで店名公表は違法」ラーメン店が徳島県を提訴

新型コロナウイルス感染者の立ち寄り先として店名を公表したのは違法だとして、徳島県内のラーメン店が県に損害賠償を求める訴えを5日、徳島地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、徳島県藍住町などにあるラーメン店「王王軒」で、訴えによりますと去年7月、クラスター発生などの緊急性がないのに徳島県が新型コロナウイルス感染者の立ち寄り先として店の名前を公表したことは正当性がなく違法だとしています。

感染した人は20分ほど店内でラーメンを食べたということですが、訴えでは、徳島県は公表の際に従業員が陰性だったことに触れないなど風評被害の対策も講じておらず、店の信用が失われたなどとして県に1100万円の損害賠償を求めています。

会見で「王王軒 本店」を経営する近藤純さんは「いまだに感染者が出たラーメン店と言われるなど情報が間違った方向にいっている。客足が恐ろしいほどにピタリととまり、苦しい時間が今も続いている」と話しました。

この店名公表について、徳島県は去年7月、知事が会見で保健所の立ち入り調査などで店側の同意を得ていたほか、感染者が立ち寄った当時、客が多くいて感染拡大のおそれがあったためと説明していて、訴えについては「訴状が届いていないためコメントは控えさせていただきます」としています。