「緊急事態宣言」から3週間余 7つの府県では

大阪府、京都府、兵庫県の関西3府県と栃木県、愛知県、岐阜県、福岡県の4県では緊急事態宣言が出されてから3週間余りがたちました。
人出や感染の広がりには、どのような変化があったのでしょうか。
NHKでは、IT企業や疫学の専門家の協力を得てデータを分析しました。

人出の変化は?

NHKは、IT関連企業の「Agoop」が利用者の許可を得て、個人が特定されない形で集めた携帯電話の位置情報のデータを使って、緊急事態宣言が出ている関西の3府県と栃木、愛知、岐阜、福岡の4県の主な地点の人の数を分析しました。

分析した時間は
▼日中が午前6時から午後6時まで
▼夜間が午後6時から翌日の午前0時までです。

その結果、主な地点の4日の人出は日中も夜間も、前の4週間の平日の平均と比べて増えたところが多くなっています。

日中の人出の比較

日中をみてみますと、
▼岐阜駅付近で17%、
▼大阪梅田駅付近と博多駅付近で4%、それぞれ増加しました。
▼神戸市の三ノ宮駅付近は0%でほぼ同じでした。
一方、減少した地点は、
▼宇都宮駅付近でマイナス14%、
▼名古屋駅付近でマイナス5%、
▼京都駅付近でマイナス3%でした。

【1回目の緊急事態宣言との比較】
▼博多駅付近は182%でおよそ2.8倍、
▼岐阜駅付近も178%でおよそ2.8倍、
▼大阪梅田駅付近は150%でおよそ2.5倍、
▼京都駅付近も148%でおよそ2.5倍、
▼神戸市の三ノ宮駅付近は132%でおよそ2.3倍となっています。
また、
▼名古屋駅付近で97%増加したほか、
▼宇都宮駅付近は43%増加しすべての地点で人出は増加しています。

夜間の人出の比較

夜間は、
▼名古屋駅付近で6%、
▼岐阜駅付近で5%、
▼博多駅付近で4%それぞれ増加しました。
一方、減少した地点は
▼宇都宮駅付近でマイナス30%、
▼京都駅付近でマイナス10%、
▼神戸市の三ノ宮駅付近でマイナス5%、
▼大阪梅田駅付近でマイナス1%でした。

【1回目の緊急事態宣言との比較】
▼博多駅付近は189%でおよそ2.9倍、
▼大阪梅田駅付近は177%でおよそ2.8倍、
▼神戸市の三ノ宮駅付近は151%でおよそ2.5倍、
▼京都駅付近は135%でおよそ2.4倍、
▼名古屋駅付近は131%でおよそ2.3倍、
▼岐阜駅付近は120%でおよそ2.2倍でした。

また
▼宇都宮駅付近で12%増加しました。

1人の感染者から何人に感染が広がっているか

感染状況を示す指標の1つで、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」をNHKが簡易な手法で計算したところ、緊急事態宣言が出されている11都府県では、一部で感染が減るスピードが鈍る傾向も見られましたが、おおむね収束の方向に向かっています。

専門家は「減少の傾向は鈍っているが、対策の効果が一定程度出ていると考えられ、今後もこの状態をずっと維持できるかがポイントになってくる」と指摘しています。

NHKは、緊急事態宣言が出ている11都府県について、4日までのデータに基づいて、疫学の専門家の監修を受けた簡易な手法で実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示し、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされています。

より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者の数をもとに簡易な手法で計算しています。

※今後、公的な機関などが発表する実効再生産数のデータと結果的に異なる場合があります。

栃木県

今月7日で緊急事態宣言が解除される栃木県では
▽先月7日時点で1.52、
▽先月14日時点で1.20、
▽先月21日時点で0.72、
▽先月28日時点で0.60、
▽4日の時点では0.66と「1」を下回っています。

愛知県

愛知県は
▽先月7日時点で1.05、
▽先月14日時点で1.13と「1」を上回っていましたが、
▽先月21日時点で0.91、
▽先月28日時点で0.85、
▽4日の時点でも0.66と「1」を下回っています。

岐阜県

岐阜県は
▽先月7日時点で1.17、
▽先月14日時点で1.01、
▽先月21日時点で0.91、
▽先月28日時点で0.79、
▽4日の時点でも0.73と「1」を下回っています。

大阪府

大阪府は
▽先月7日時点で1.26、
▽先月14日時点で1.31と「1」を上回っていましたが、
▽先月21日時点で0.96、
▽先月28時点で0.82、
▽4日の時点でも0.72と「1」を下回っています。

京都府

京都府は
▽先月7日時点で1.02、
▽先月14日時点で1.22、
▽先月21日時点で0.99、
▽先月28日時点で0.90、
▽4日の時点でも0.66と「1」を下回っています。

兵庫県

兵庫県は
▽先月7日時点で0.97で、
▽先月14日時点で1.33、
▽先月21日時点で0.98、
▽先月28日時点で0.84、
▽4日の時点でも0.71と「1」を下回っています。

関西の2府1県では
▽先月7日時点で1.12、
▽先月14日時点で1.30、
▽先月21日時点で0.97と「1」を下回り、
▽先月28日時点で0.84、
▽4日の時点で0.70となっています。

福岡県

福岡県は
▽先月7日時点で1.18、
▽先月14日時点で1.28、
▽先月21時点でも1.02でしたが、
▽先月28日時点では0.75、
▽4日の時点でも0.70と「1」を下回っています。

全国

また全国では
▽先月7日時点で1.17、
▽先月14日時点で1.27と「1」を上回っていましたが、
▽先月21日時点では0.96、
▽先月28日時点で0.77、
▽4日の時点でも0.75と「1」を下回っています。

専門家「改めて一人一人が油断せずに対策継続を」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「今後もこのままの状態を維持できれば、ゆるやかだが確実に収束に向かっていくと考えられる。一方で、実効再生産数が0.7から0.8の状態を最低限維持していかないと、来月7日に延長された緊急事態宣言の解除が難しくなるので、改めて、感染が広がりやすい飲食の場への参加を控え、テレワークを積極的に進めて不要不急の外出を控えるなど、一人一人が油断せずに対策を継続する必要がある」と指摘しています。