米ロ核軍縮条約「新START」5年間延長 中国が課題に

アメリカとロシアは両国間の唯一の核軍縮条約「新START」を5年間延長したと発表しました。アメリカはロシアに加え、中国の核軍縮の枠組みへの参加を追求する考えで、米中両国の今後の新たな懸案となります。

アメリカとロシアの両政府は3日、両国の核軍縮条約「新START」を5年間延長する手続きを終え、2026年2月5日まで延長したと発表しました。

新STARTは、米ロ両国に
▽戦略核弾頭の配備数を1550発以下に、
▽また、弾道ミサイルや戦略爆撃機などの運搬手段を800以下に削減することなどを義務づけています。

米ロの核軍縮では両国の対立でおととし、もう1つの核軍縮条約INF=中距離核ミサイルの全廃条約が失効し、残る新STARTでも延長交渉が難航して今月5日に失効の期限が迫っていました。

こうしたなか先月、延長に前向きなバイデン大統領が就任し、プーチン大統領との初めての電話会談で一気に進展して、延長で原則合意していました。

ブリンケン国務長官は3日の声明で「条約の延長でアメリカや同盟国、世界はより安全になる」としてその意義を強調しました。

そのうえで「中国の近代的かつ増大する核兵器による危険を減らすための軍縮を追求する」として今後、ロシアに加え中国の核軍縮の枠組みへの参加を追求する考えを示しました。

アメリカは中国による中距離弾道ミサイルなど核戦力の増強に強い警戒感を示し、これまでも核軍縮の枠組みへの参加を呼びかけてきましたが、中国はこれに応じておらず、この問題は米中両国の今後の新たな懸案となります。

NATOとEU 評価の声明

アメリカとロシアが「新START」を5年間延長したことについてNATO=北大西洋条約機構は3日、声明を出し「国際社会の安定に寄与する」と評価する一方、「各国は連携して欧米の安全保障の脅威となるロシアの挑発的な行動に対処していく」としてロシアへの警戒感を示しました。

さらに「これがゴールではなく核の脅威や増大する新たな課題に対処する上での始まりだ」として、ロシアに加え中国などほかの核保有国の核軍縮に取り組む必要性を指摘しました。

また、EU=ヨーロッパ連合で外交と防衛を担当するボレル上級代表も声明を出し「最も多くの兵器を持つアメリカとロシアは特別な責任を持っており、さらなる核兵器の削減を促す」としています。

国連 報道官「より多くの核保有国の参加を」

アメリカとロシアが「新START」を5年間延長したことについて国連の報道官は3日の記者会見で、「最大の核保有国の核兵器に検証可能な形で上限を設定する条約の延長を心から歓迎する」と評価しました。

そのうえで「この5年間を使って米ロが核兵器のさらなる削減と、新たな核兵器の課題に対処するために交渉することを望む。核軍縮の交渉にはより多くの核保有国が参加すればするほどよい」と述べて、米ロ両国によるさらなる核軍縮の取り組みと中国などほかの核保有国の参加の必要性にも言及しました。