バイデン政権が目指す多様性

バイデン政権が目指す多様性
アメリカで、バイデン大統領が就任。閣僚人事では女性を多く起用し、黒人や先住民など多様な顔ぶれに注目が集まっています。分断が深まっているアメリカで、新政権がどう「多様性」を打ち出そうとしているのか、見ていきます。

「多様性」閣僚人事にも

バイデン大統領が指名した副大統領や閣僚には、黒人として初めてとなる国防長官や先住民で初の閣僚となる内務長官、同性愛者を公表している人など、さまざまな人種や背景の人がいます。

バイデン政権の顔ぶれについて、アメリカ政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子教授に聞きました。
中林さん
「たくさんの多様性を含めた人たちを指名しました。バイデン大統領が選挙中に公約していたように、なるべく多様性を政府や行政の中に取り入れていくということでしたから、まさに閣僚の顔がそれをすべて表しているように思います」

変わりつつある社会構造と「分断」

移民やさまざまな人種の人たちを受け入れて発展してきたアメリカ。その「多様性」が社会の原動力になってきました。
しかし今、従来の社会の構造が変わろうとしています。
人口をみると2014年に白人はおよそ6割を占めていましたが、今後は中南米やアジア系の人たちなどが増え、2060年には白人はおよそ4割余りに減るとみられています。
保守的な白人層を中心に雇用の確保などへの危機感が高まる中、登場したのがトランプ前大統領でした。
トランプ前大統領の4年間で社会の分断は深まり、「多様性」を尊重する価値観は大きく揺らぎました。
中林さん
「白人層の、しかも年配の方々という立場に今度は立ってみると、昔ながらの居心地のよかったアメリカ、そういう社会のモラルみたいなものが、全く文化の違う人が入ってきてしまうことによって変わってしまう、そういう恐怖心を抱いたとしても不思議ではないですよね」

「結束目指す」移民政策からも

そうした中、就任したバイデン大統領。多様な顔ぶれの閣僚たちと社会の結束に挑もうとしています。
その象徴的な存在のひとりが、移民政策を担う国土安全保障長官に指名されたマヨルカス氏です。
オバマ政権時代にも移民政策を担当し、「DACA」という制度の導入に力を入れました。子どものときに親に連れられて不法入国した人の強制送還を猶予する制度で、アメリカには、こうした人たちがおよそ80万人いるといわれています。
トランプ前大統領は制度の廃止を求めましたが、バイデン政権は継続を表明しました。
マヨルカス氏は実はキューバ出身で、みずからもアメリカに渡った移民です。
マヨルカス氏
「両親も私もこの国の民主主義を愛し、アメリカ国民になれたことが無上の誇りだった」
マヨルカス氏はツイッターで、次のように決意を述べています。
「私が幼いころ、アメリカは私たち家族の避難場所となってくれました。私は長官の指名を受け、すべてのアメリカ人と迫害から逃れてきた人々の保護に努めます」
中林さん
「移民というものがアメリカの社会をここまで引き上げてきたんだ、一緒にアメリカを作ってきたんだ、ということを正面から受け止めて肯定していく、そんな動きであるようにも見受けられます」

「私たちは継承者」詩にみる「多様性」

今回の新政権は人種や移民だけでなく、女性や性的マイノリティーなどの多様性も重視する姿勢を打ち出しました。
それを象徴する場面が、大統領の就任式でありました。詩を朗読した、アマンダ・ゴーマンさんです。
アマンダ・ゴーマンさん
「私たちは継承者だ。奴隷の子孫であり、シングルマザーに育てられた黒人の娘が、大統領になることを夢見ることができる、そしてまさに今、大統領のために詩を朗読している、そんな国と時代の継承者なのだ」
中林さん
「今まで、非白人の女の子が、学校で『誰でも平等に大統領にだってなれるんだよ』と教えられたとしても、その実際のお手本とか人物をイメージすることができなかったんです。ところが今回、カマラ・ハリスさんが実際に副大統領になったわけですから、世界中の子どもたちにとっても、『頑張ってチャンスがあればあのようになれる』ということを、実例をもって示したことになります。非常に大きい意味をもち、そして社会を変革する力にも将来なっていくことでしょう」

分断 乗り越えられるか

一方で、大統領選挙でトランプ氏を支持した人はおよそ7400万人います。選挙は不正だったと今でも考えている人も少なくありません。
バイデン大統領は演説で「私はすべてのアメリカ人の大統領になる。私に投票した人のためにも、投票しなかった人のためにも全力で働く」と述べました。

アメリカが多様性を重んじながら分断を乗り越え、どんな新しい4年間を築いていくのか、関心をもって見ていきたいと思います。
「週刊まるわかりニュース」(土曜日午前9時放送)の「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、鎌倉キャスターと考えていきましょう!

コーナーのホームページでは、これまでのおさらいもできます。
下のリンクからぜひご覧ください!