河井案里議員 辞意固める おととしの参院選買収事件で有罪判決

おととしの参議院選挙をめぐり、公職選挙法違反の罪で東京地方裁判所から有罪判決を言い渡された、河井案里参議院議員は、議員を辞職する意向を固めました。3日午後、山東参議院議長あてに議員辞職願を提出する見通しです。

参議院議員の河井案里被告は、おととしの参議院選挙で、夫で元法務大臣の克行被告とともに、公職選挙法違反の買収の罪に問われ、東京地方裁判所は先月21日、地元議員らに現金を渡したのは買収が目的だったと認め、懲役1年4か月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

これを受けて案里議員は、判決に対する控訴の期限が4日に迫る中、議員を辞職する意向を固め、以前、所属していた自民党の幹部らに伝えました。

案里議員は3日午後、山東参議院議長あてに議員辞職願を提出する見通しです。

案里議員は、参議院広島選挙区選出の47歳。

県議会議員を経て、おととしの参議院選挙で、定員2人の広島選挙区に、自民党の2人目の候補として当時の現職とともに擁立され、保守分裂の激しい選挙戦の末に初当選しました。

去年6月、今回の事件をめぐる検察当局の捜査が進む中、党に迷惑をかけたくないとして自民党を離党し、直後に逮捕・起訴されましたが、裁判では無罪を主張してきました。

案里議員の辞職は、近く参議院本会議で認められる見通しで、辞職が認められれば、公職選挙法の規定に基づき、参議院広島選挙区では、吉川元農林水産大臣の辞職に伴う衆議院北海道2区や、立憲民主党の羽田雄一郎氏の死去に伴う参議院長野選挙区と同じく、4月25日に補欠選挙が行われることになります。

事件の経緯

案里議員の陣営の選挙違反疑惑は、いわゆるウグイス嬢に法律の規定を上回る報酬を支払っていたとするおととし10月の週刊誌報道がきっかけでした。

夫の河井克行法務大臣は、大臣就任からわずか50日後に辞任しました。

ウグイス嬢に違法な報酬を支払ったとして、夫妻の公設秘書らが公職選挙法違反の運動員買収の疑いで起訴されました。

また、河井克行元法務大臣は、地元議員ら100人に2900万円余り、案里議員は地元議員5人に170万円を配ったとして、公職選挙法違反の買収の罪で起訴されました。

案里議員の裁判は去年8月から審理を迅速に進める「百日裁判」で行われ、地元議員や陣営スタッフなど20人の証人尋問が行われました。

判決は?

案里議員は裁判で無罪を主張しましたが、1月21日、公職選挙法違反の買収の罪で有罪判決を言い渡されました。

判決では広島県議会議員4人に現金合わせて160万円を渡したことが買収にあたると判断されました。

その理由として、「渡した金額は、議員らの立場や選挙で期待された役割に照らすと、票の取りまとめなどの選挙運動をすることの報酬と見合う」と指摘されました。

また、夫の克行元法務大臣と共謀関係にあったかどうかについては、克行元大臣が作成・管理していた現金提供先を記載したリストなどを根拠に、「案里議員が県議会議員に現金を渡したことも、当時の選挙情勢のもとで、克行元大臣が差配したと認められる」として、案里議員による単独の行為ではなく、共謀関係にあったと判断されました。

そのうえで「民主主義の根幹である選挙の公正を害する犯行であり、渡した現金の額は合計160万円と多額に及び、刑事責任は重い」として、懲役1年4か月、執行猶予5年が言い渡されました。

案里議員側と検察の双方が控訴期限の4日までに控訴しなければ、有罪判決が確定します。

夫・克行元大臣の裁判は?

夫の克行元法務大臣の裁判は、案里議員の裁判と途中で分離されましたが、同じ裁判長が担当し、東京地方裁判所で週に3、4回、証人尋問などの審理が続いています。

克行元大臣は3日も紺色のスーツ姿で出廷し、とくに変わった様子はなく、検察官の供述調書の読み上げを聞いていました。

裁判で克行元大臣は、現金の提供に買収の目的はなく、案里議員とも共謀していないなどとして、無罪を主張しています。

起訴内容では現金を渡したとされる相手が100人に上り、裁判ではこれまでに地元議員や後援会関係者など、およそ50人の証人尋問が行われました。

新型コロナウイルスの感染防止対策もあって、証人を広島地裁に呼んで映像と音声でつなぐ、構外ビデオリンク方式での証人尋問も異例の回数に上っています。

元大臣側が供述調書の証拠採用に同意して尋問が行われなくなった証人も増え、証人尋問は残り7人と、終盤に近づいています。

証人尋問が終われば、準備期間を設けたうえで、克行元大臣の被告人質問が行われる見通しで、裁判は最大のヤマ場を迎えます。

逮捕後2000万円余支払われる

参議院事務局によりますと、参議院議員には毎月、給与にあたる「歳費」として103万5200円が支給されるほか、「文書通信交通滞在費」として100万円のあわせて203万5200円が支払われます。

河井案里議員が逮捕された去年6月から先月末までの8か月間では、「歳費」などに加え、ボーナスにあたる2回の期末手当として支給された628万円余りを含め、合わせて2198万円余りが案里議員に支払われています。