諮問委員会 尾身会長「医療体制や保健所への負荷 まだ厳しい」

菅総理大臣の記者会見に同席した諮問委員会の尾身茂会長は今回の緊急事態宣言の延長の判断について「今回の対応は欧米のロックダウンとも去年4月の緊急事態宣言下での対応とも異なり、感染の急所をついた対策で多くの人の協力のおかげで感染の報告者数は少しずつ減っていると評価できる。一方で、医療体制や保健所への負荷はまだ厳しい状況が続いている。宣言が継続する10都府県の地域では感染の減少のスピードをさらに増すと同時に、病床や医療従事者の確保、重症化対策の3本柱をやっていくことが必要だと思っている」と述べました。

「5類にはすべきではない」

尾身会長は、新型コロナウイルスが現在、感染症法の指定感染症として「2類相当」となっていることについて「新型コロナウイルスはふつうのかぜと似たようなものでインフルエンザなどと同じ『5類』相当が妥当だという人もいるが私自身は5類にはすべきではないと考えている。2類相当だと入院などの対応が大変だという意見があるが、現在は、全員を入院させる必要は無く、必要のある人だけが入院するという対応になっている。こうした対応は政令にも示されていて、趣旨は感染症法の改正でも反映されることになっている。現場の人に必ずしもこうしたメッセージが伝わっていないので周知徹底をしてもらいたい」と述べました。

「入院や転院の調整が非常に難しくなっている」

自宅療養の患者が増加している問題への対策については「自宅療養者に対してのフォローアップは往診やオンライン診療などの対応やパルスオキシメーターの供与などが重要だと思う。また、別の問題として入院や転院の調整が非常に難しくなっているので、この役割を保健所だけに任せるのではなく、都道府県の対策本部のスタッフとして臨床医を正式に任命し、調整の要になってもらうといった仕組みが必要だ」と述べました。

「延長の地域や期間は全員合意」

「諮問委員会では、基本的対処方針の文言の修正などは少しあったが、栃木県のみ解除し、延長の期間は1か月という地域や期間の2点については基本的に全員で合意した」と述べました。

国内のワクチン開発遅れ「競争力の違い」

日本国内でワクチンの開発が遅れている背景について「日本のワクチン業界や企業は頑張っているが、世界と比較すると欧米の非常に競争力の強い企業に比べて、どうしても弱くなってしまう。こうしたワクチン業界の世界的な競争力の違いが本質にあったのではないかと思っている」と述べました。