医療機関なかった福島県大熊町に診療所

原発事故による避難指示が一部解除されたあとも医療機関がない状態が続いていた福島県大熊町に2日、町立の診療所が開設しました。

福島第一原発が立地する大熊町では、おととし4月に避難指示が一部解除されましたが、これまで町内に医療機関はなく、診療を受けるには近隣の自治体まで行かないといけませんでした。

大熊町は、医師が確保できたことから町役場のすぐ近くに内科の診療所を開設し、2日から診療を始めました。

診療所は鉄骨平屋建てで、診察は当面火曜日の午前中だけですが、町は住民のニーズを踏まえて診察日や診療科目の追加を検討することにしています。

町内に調剤薬局がないため痛み止めなどの薬を除くと、町外に行かないとすぐ受け取ることはできませんが、楢葉町の薬局に処方箋をFAXで送れば翌日にはこの診療所で受け取ることができるということです。

また、診療所内のオンライン相談コーナーで広野町の薬局に頼めば自宅に郵送してもらうこともできるということです。
大熊町診療所の山内健士朗医師は「住民の声にしっかり耳を傾けて健康づくりに取り組みたい。診療所ではできないこともあるので、近隣の病院とも連携して取り組んでいきたい」と話していました。

大熊町の吉田淳町長は「すでに町に戻った人たちには医療機関がないことで大変なご不便をおかけしていた。週に1日でも診察を受けられることで、町民の安心につながると期待している」と話しています。

近隣住民「うれしい」「調剤薬局も作ってもらいたい」

福島県大熊町に診療所が開設されたことについて、近くに住む70歳の男性は「車がない人や運転ができない人もいるので、歩いて行ける場所に診療所ができるのはうれしいことです。震災からまもなく10年になりますが、少しずつ復興していくのを見守っています」と話していました。

また、77歳の男性は「近くに診療所ができても、すぐ薬をもらうのに町外に出る必要があるなら今通っているかかりつけ医に行ったほうがいい。町に人が戻ってくるためにも、町民の声を聞いて調剤薬局も近くに作ってもらいたい」と話していました。