緊急事態宣言 10都府県で来月7日まで延長 今夜正式決定へ

11の都府県を対象にした緊急事態宣言について、政府はこのあと7時から対策本部を開き栃木県は解除する一方、東京や大阪など10の都府県は来月7日まで延長することを正式に決定します。

緊急事態宣言が今月7日に期限を迎えるのを前に2日午後、感染症の専門家などでつくる諮問委員会が開かれました。
この中で、西村経済再生担当大臣は11の都府県のうち、栃木県は新規感染者数や医療提供体制の状況が改善しているとして解除し、対策を段階的に緩和していく考えを示しました。

一方で、東京や大阪など10の都府県は来月7日まで1か月延長する方針を示し、飲食店の午後8時までの営業時間短縮や、不要不急の外出自粛などの要請を継続する考えを示しました。

諮問委員会では、対象地域や期間が妥当かどうかなどをめぐって意見が交わされ、政府の方針は了承されました。

これを受けて菅総理大臣は、衆参両院の議院運営委員会に、こうした経過を報告し「今後とも、国民の命と暮らしを守ることを第一に、感染拡大防止に向けた取り組みを徹底していく」と述べ、理解と協力を求めました。

政府は、このあと7時から対策本部を開いて、10の都府県で宣言を延長することを正式に決定します。
その後、菅総理大臣が記者会見して、延長の理由などを説明し、対策への協力を呼びかける見通しです。

田村厚労相「減少傾向も収まらず」

田村厚生労働大臣は諮問委員会の中で「先月中旬以降、感染者数の減少傾向が続いているが感染状況は収まっていない。専門家からも『感染者数の減少が入院患者数や重症者数の減少につながるには一定の期間が見込まれ、まだまだ保健所や医療機関が大変な状況にあるのは確かだ』という意見もいただいており、引き続き緊張感を持って機動的な対応を行っていく」と述べました。

尾身会長「政府案を了承」

諮問委員会のあと、尾身茂会長は報道陣の取材に応じ「緊急事態宣言を延長する期間や地域について政府案を了承した。基本的対処方針の細かい内容については、たとえば感染が下火になって宣言を解除したところでも、感染が再拡大しないよう検査を集中的に行って拡大の予兆を素早く見つける対策などをもっとはっきり示したほうがよいのではないかという意見があり、いくつか修正をしてもらった」と述べました。

東京財団政策研究所 小林研究主幹「リバウンド対策必要」

経済の専門家の立場で諮問委員会の委員を務める、東京財団政策研究所の小林慶一郎研究主幹は、記者団に対し「感染者数が再び増加するリバウンドが起きることが非常に問題なので、歓楽街やそれ以外の地域も含めて、PCR検査などの面的な検査の拡充をやるべきだ。東京で1日の感染者を200人程度の低いレベルに落としたあとで、経済を回していくというのが、リバウンドを避けて経済を正常化していくいちばんいいやり方だと思う」と述べました。

西村経済再生相「栃木県は病床を注視 対策を段階的に緩和」

西村経済再生担当大臣は諮問委員会のあと記者団に対し「栃木県は今月7日をもって緊急事態措置の対象区域から除外し、それ以外の10都府県は来月7日まで措置を実施する区域とすることで了承をいただいた」と述べました。

また、栃木県については「新規陽性者の数が『ステージ3』を下回り病床の使用率も低下してきているが、まだまだ安心できる状況ではない。引き続き病床を注視しながら対策を段階的に緩和し、確実に『ステージ2』以下になっていくよう対策を講じていきたい」と述べました。

そのうえで「衆参の議院運営委員会で説明し政府の対策本部での決定を経て期間と区域の変更について、きょう中に官報で公示したい」と述べました。

加藤官房長官「しばらくは警戒が必要」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「感染者数が減少傾向にあるが、しばらくは警戒が必要な状況と認識しており、きょう諮問委員会に意見を伺って決定することになる。飲食店への時間短縮要請などの取り扱いについても感染防止対策全体の中で議論され、協力金や一時金などを含め必要な支援策を検討していく。与党の意見も伺いながら引き続き必要な支援を行っていきたい」と述べました。