“減少傾向も医療のひっ迫続いている” 新型コロナ専門家会合

今月7日が期限となる緊急事態宣言について政府が2日、宣言の延長など扱いを判断するのを前に、対策の助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれました。新型コロナウイルスの全国の感染状況について、「先月中旬以降、新たな感染者数は減少傾向となっている」とした一方、重症者や亡くなる人の数は過去最多の水準にあり、医療のひっ迫は続いているとして、感染者数の減少傾向を確かなものにするため、引き続き、対策の徹底が必要だと指摘しました。

1日午後開かれた会合では、特に緊急事態宣言の対象となっている地域の状況について議論が行われ「飲食店などに着目した取り組みへの協力もあり、新たな感染者の数は今月中旬以降減少傾向となっている」と分析しています。

地域別に見ると、東京都では、直近の1週間の新規感染者数は、10万人あたりおよそ43人で「ステージ4」の目安の25人を上回っているものの、ピークの2分の1を下回っているほか、特に栃木県については新規感染者数は10万人あたりおよそ11人と「ステージ3」の目安の15人を下回って減少が続いているとしています。

その一方で、入院者数は各地で減少がみられるものの、重症者や亡くなる人の数は過去最多の水準が続いていて、医療の提供体制については「各地で厳しい状況が継続し、通常の医療との両立が困難な状況が続いており、病床のひっ迫により入院・療養調整中となる事例も依然として多数見られている」と分析しています。

また、飲食店での感染は減少している一方、医療機関や福祉施設を中心としたクラスターが全国的に発生していて、80代、90代では感染者の減少が見られず、重症者や亡くなる人が増加する可能性があると指摘しています。

そのうえで、専門家会合は、新規感染者数の減少傾向を確かなものにするために対策の徹底が必要で、入院者数や重症者数が増える状況も想定されるとして引き続き医療体制の確保を求めています。

2日開かれる政府の「諮問委員会」では、こうした分析結果をもとに、政府が延長の方向で調整している緊急事態宣言の扱いを了承するか判断されます。

脇田座長「急所押さえた対策の継続必要」

専門家会合の脇田隆字座長は会合のあとの記者会見で緊急事態宣言の効果について「今回の宣言では、主に飲食店の営業時間の短縮や不要不急の外出自粛、テレワークの実施の要請、それにイベントの制限などが対策として行われた。感染状況に改善傾向が見られ、感染の急所を押さえた対策が一定程度効果を発揮していると評価している」と述べました。

そのうえで「飲食店での感染が減っている一方で、福祉施設や高齢者施設でのクラスターがかなり多く出てきていて感染の場が変化してきている。また、感染者数が減少しても直ちに入院者や重症者は減らず、医療体制のひっ迫状況の改善にはつながらないため、急所を押さえた対策を継続する必要がある」と指摘しました。