ミャンマー軍が非常事態宣言 進出の日本企業の対応は

今回の非常事態宣言を受けて、ミャンマーに進出する日本企業は、現地で働く従業員の安否確認を進め、自宅待機を指示するなどの対応を取っています。

433社が進出(去年末時点)

JETRO=日本貿易振興機構によりますと、ミャンマーには去年末の時点で433社の日本企業が進出していて、工業団地の運営や都市開発、通信インフラの整備のほか、自動車や食品、衣類の製造や販売など、幅広くビジネスを展開しています。

スズキ 工場の操業停止

ミャンマーで乗用車などを生産している自動車メーカーのスズキは、軍が非常事態宣言を出したことを受けて、およそ400人の従業員の安全を確保する必要があるとして最大都市ヤンゴンにある2つの工場の操業を停止しました。

スズキはヤンゴンで現地法人が運営する2つの工場で乗用車や小型トラックを生産していて去年の生産台数は合わせておよそ1万1000台にのぼっています。

軍の非常事態宣言を受けて現地法人は、従業員の安全を確保する必要があるとして現地時間の1日昼ごろ、2つの工場の操業を停止しました。

そのうえで日本人を含むすべての従業員およそ400人に対して、帰宅して自宅で待機するよう指示しました。工場を再開する時期については今の段階では未定だとしています。

日本の大手メーカーでは駐在員の事務所をヤンゴンに設置している機械メーカーのIHIも、現地にいる社員19人の安否を確認したうえで自宅待機を指示しました。
大手商社の三菱商事は、首都ネピドーと、最大都市ヤンゴンにある事務所などの従業員の安否を確認し、自宅での待機を指示しました。

三井物産はネピドーとヤンゴンの事務所の従業員30人余りに対して、在宅勤務の徹底を指示したほか、住友商事もおよそ20人の社員などの安否を確認し、自宅待機を指示するなどしています。

このほか、丸紅や双日も従業員の安否を確認したほか、伊藤忠商事は現地の状況などの確認を進めています。
通信業界では、ミャンマー国内で通信事業を手がけるKDDIが、日本人従業員およそ20人の安否を確認したうえで、自宅待機を指示しました。現地では携帯電話や固定電話がつながりにくくなっていて、会社が原因を調べています。
NTTグループは、ヤンゴンにある2つの事務所で働く合わせて6人の日本人従業員に自宅待機を指示しました。
ヤンゴンで大規模な都市開発を進めている大手ゼネコンの鹿島建設は、日本人の社員、数十人が駐在しているということで、会社では工事現場と事務所を閉鎖し、社員には自宅待機を指示しました。

大手電機メーカーのNECは、ヤンゴンの支店で働く日本人社員1人や現地スタッフを在宅勤務としています。
流通大手のイオンは、現地企業と共同で、スーパーマーケットを11店舗展開していて、現地についての情報を収集しています。

食品大手の味の素は、現地に調味料の工場があり日本人3人を含む300人余りの従業員全員に自宅待機を指示しました。
大手日用品メーカーのユニ・チャームは、ヤンゴンにある事務所の従業員を自宅待機としたほか、おむつや生理用品の工場の稼働の停止を検討するとしています。
金融では東京海上ホールディングスが駐在する社員を原則、自宅待機にしたほか、SOMPOホールディングスは全員を在宅勤務に切り替えました。

三井住友海上は新型コロナウイルスの影響で日本に帰国中の社員を来週、改めて赴任させる予定でしたが、赴任の時期を検討し直すとしています。

大和証券グループ本社は、設立を支援したヤンゴン証券取引所に駐在する社員1人と連絡を取り合い、情報の収集に当たっています。現地では、株式の取り引きができない状態になっているということです。

日本とミャンマーの直行便 欠航に

全日空によりますと、ミャンマーの最大都市ヤンゴンの空港が閉鎖されたため、今月2日に成田空港から現地に向かう便と、今月4日に現地から成田空港に到着する予定だった便の欠航が決まりました。

国土交通省などによりますと、この便は日本とミャンマーを結ぶ唯一の直行便で、今月は週に2往復運航する予定でした。

全日空は、成田空港とヤンゴンを結ぶ便の今後の運航は未定だとしていて、最新の情報を確認するよう呼びかけています。

現地勤務の日本人「携帯電話通じず 不安しかない」

ヤンゴンの旅行会社に勤務する竹永慶代さん(44)は、NHKのオンラインでのインタビューに答え「朝起きて情報収集をしようとしたところ携帯電話が通じず、テレビをつけても真っ黒の状態が続いています。自宅の近くは、屋台も営業していて、ふだんとあまり変わりはありませんが、大使館からは不要不急の外出を控えるようメールで連絡が来たところです。とにかく不安しかありません」と話していました。

また、ミャンマー軍が非常事態宣言を出したあとは、現地の日本人とSNSで連絡を取り合っているということです。

竹永さんは、「いつネットワークが遮断されるかわかりませんが、今のところ身の危険を感じることはありません。なにがあるかわからず怖いので、外出しないようにしています」と話していました。

大使館 不要不急の外出 控えるよう呼びかけ

ミャンマー軍が非常事態宣言を出し、政権を掌握したことを受けて、現地の日本大使館はミャンマー国内に在留する日本人に向けて、不要不急の外出を控えるように呼びかけています。

外務省のホームページによりますと、去年12月時点でミャンマーには3505人の日本人が在留しているということです。

企業活動に影響は

日本は、ミャンマーの軍事政権時代、欧米が経済制裁で圧力を強める中でも対話を働きかけ、独自の外交を続けてきました。また、民政移管後には経済的な結び付きも強めています。

人口5000万を超え、経済成長が続くミャンマーは、アジアの「最後のフロンティア」とも呼ばれて注目され、ジェトロ=日本貿易振興機構によりますと、現地へ進出している日系企業は去年末の時点で433社にのぼっています。

特に、最大都市ヤンゴン近郊に工業団地などを整備したティラワ経済特区は、日本が協力した一大プロジェクトで、ミャンマーとしても外国からの投資を受け入れるための重要な拠点になっています。

ここにはトヨタ自動車も新工場の建設を進めていて、新工場は今月中に稼働を開始する計画です。

ミャンマー軍が非常事態宣言を出したことで、日系企業をはじめ現地へ進出する企業の経済活動にどのような影響が出るのかも焦点です。