自民 松本元国家公安委員長ら3人 離党 深夜まで飲食店に

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が続く中、深夜まで飲食店に出入りしていた責任をとりたいとして、自民党の松本 元国家公安委員長、田野瀬 文部科学副大臣、大塚 国会対策副委員長の3人が離党しました。田野瀬氏は、菅総理大臣から副大臣を更迭されたことを明らかにし、政府は、後任に自民党の丹羽秀樹元文部科学副大臣を充てる人事を決めました。

自民党の松本 元国家公安委員長は、先に「デイリー新潮」で、緊急事態宣言が出されていた先月18日の夜、東京都内のイタリア料理店と銀座のクラブに出入りしていたと報じられ、先週、党の国会対策委員長代理の役職を辞任しました。

松本氏は当初、これらの店には、1人で出入りしていたと説明していましたが、その後、自民党の田野瀬 文部科学副大臣と大塚 国会対策副委員長が同席していたことが分かりました。

これを受けて、自民党の二階幹事長は、松本氏と田野瀬氏、大塚氏の3人に離党を勧告し、3人は、1日午後、党本部を訪れて離党届を提出し、受理されました。

このあと松本氏は、記者団に対し「飲食店には後輩議員2人と同席していた。彼らをかばいたいという思いから、『1人で行った』と説明していたが、事実と違うことを申し上げたことをおわびしたい。2人は、私がかばったことで、なかなか本当のことを言いだすことができない状況にあったのではないか」と陳謝しました。

また、田野瀬氏も「深く反省している」と陳謝しました。

そして、これに先立ち、菅総理大臣や加藤官房長官、萩生田文部科学大臣に経緯を説明したとしたうえで「特に菅総理大臣からは『あってはならないことだ』と厳しく叱責をいただき、副大臣の職を更迭するという話を受けた」と述べ、菅総理大臣から、副大臣を更迭されたことを明らかにしました。

大塚氏は「皆さんが歯を食いしばってコロナ対策をし、われわれから自粛をお願いしておいて、こうしたことが起きて本当に申し訳ない。失った信頼を取り戻すべく誠心誠意、頑張っていきたい」と陳謝したうえで、党の国会対策副委員長と衆議院議院運営委員会の理事の役職を辞任する意向を示しました。

さらに、今後の議員活動については、3人とも地元の支援者らと相談して決めたいという考えを示しました。

政府は、更迭された田野瀬氏の後任の文部科学副大臣に自民党の丹羽秀樹元文部科学副大臣を充てる人事を持ち回り閣議で決めました。

野党3党 菅首相の説明求める方針確認

自民党の松本 元国家公安委員長ら3人が離党届けを提出したことについて立憲民主党、共産党、国民民主党の野党3党の国会対策委員長らが国会内で会談し、対応を協議しました。

この中で野党3党は自民党総裁としての監督責任も問われるとして、菅総理大臣が国会で事実関係や問題への認識などについて説明するよう与党側に求めていく方針を確認しました。

そして、与党側が受け入れない場合は、緊急事態宣言の延長をめぐる議院運営委員会や予算委員会の審議など、今後予定される国会審議には応じられないという認識で一致しました。

西村大臣「政治家も含めて丁寧な情報発信に努めていく」

自民党の松本 元国家公安委員長ら3人が離党届を提出したことについて、西村経済再生担当大臣は、衆議院内閣委員会と厚生労働委員会の連合審査会で「事実関係を承知しておらず、答弁は控えたいが、国民に、不要不急の外出自粛をお願いしている。また、飲食の場面や、長時間、あるいは大人数はリスクが高いと、繰り返し発信してきた。政治家も含めて、国民一人一人に理解してもらえるよう、丁寧な情報発信に努めていく」と述べました。

自民 二階幹事長「信頼回復に努力」

自民党の二階幹事長は記者団に対し「政治家の出処進退はみずからが決めることだが、今回は当初説明のあった内容と異なる事実が判明したことを受けて、私から離党を勧告した。国民の皆さんの批判を謙虚に受け止め、党を挙げて信頼回復に努力したい」と述べました。

加藤官房長官「甚だ遺憾 おわびする」

加藤官房長官は午後の記者会見で「現在、緊急事態宣言の中で、国民に大変ご不便やご苦労をおかけしている。そうした中で、今回のこうした対応があったことは甚だ遺憾であり、政府として国民におわびを申し上げたい」と述べました。

そして「本日、田野瀬氏と面会し事実関係を確認した。田野瀬氏から『緊急事態宣言下で非常に軽率であり反省している。松本議員の説明との関係で申し出ることができなかった』と話があり、私からは『甚だ遺憾だ』と申し上げた」と述べました。

そのうえで「その後、田野瀬氏から菅総理大臣に一連の報告とおわびをした。総理からは『今回の対応はあってはならないことで、副大臣の職を免ずる』と指示がなされた」と述べました。

また、菅総理大臣が2日の議院運営委員会で説明を行うことについて「『こうした事態に対し、政府としての考え方などをしっかりとご説明させていただきたい』ということで出席される。その場の中で菅総理大臣がどうお話になるかをしっかりお聞きいただきたい」と述べました。

また、更迭された田野瀬文部科学副大臣の後任に、自民党の丹羽秀樹元文部科学副大臣を充てる理由について「これまでも文部科学副大臣を経験されており、こうした分野でもご活躍いただいて、適任であるという判断で任命した」と述べました。

そして記者団から、ほかの閣僚などに対して、同様の夜間の飲食などの事実がないか確認しないのか問われたのに対し、加藤官房長官は「確認するとか、しないとかいう以前の問題として、そういうことがないようにしていくのは、当然、私たちの責務であると思っている。その自覚を持って引き続き対応していきたい」と述べました。

立民 福山幹事長「国民の厳しい見方あった」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「離党までに至ったのは、国民の厳しい見方があったからで、われわれも自身を戒め、それぞれの行動に十分留意していかなければならない」と述べました。

共産 小池書記局長「3人の議員辞職求める」

共産党の小池書記局長は記者会見で「松本氏は店に1人で行ったのか聞かれた際に、明確に『1人だった』と真っ赤なうそをついた。また、議員3人ともこれまで何の説明もしなかった点で責任は極めて重大だ。政府・与党の緩みきった実態が非常にはっきりした形で出た。自民党と政府全体が猛省すべきだし、当然3人の議員辞職を求める」と述べました。