緊急事態宣言 政府 首都圏や関西圏で延長の方向で調整

政府は、今月7日が期限の緊急事態宣言について、2日、感染症の専門家などでつくる「諮問委員会」に諮問し、宣言の扱いを判断する方針を固めました。首都圏や関西圏では、医療提供体制が依然としてひっ迫していることなどから、宣言を延長する方向で調整しています。

東京や大阪など11の都府県に出されている緊急事態宣言は、今月7日に期限を迎えますが、直近1週間の新規感染者数は前の週と比べて減少傾向にある一方、新規感染者のうち重症化するリスクの高い高齢者の割合は増加しています。

こうした中、政府は、2日、感染症の専門家などでつくる「諮問委員会」に諮問し、宣言の扱いを判断する方針を固めました。

政府は、首都圏や関西圏では、医療提供体制が依然としてひっ迫していることなどから、今月7日が期限の緊急事態宣言を延長する方向で調整しています。

一方、対象地域のうち栃木県については、新規感染者数が減少し、医療提供体制のひっ迫度合いも改善していることから宣言を解除できないか検討しています。

3府県知事「宣言延長やむなし」

今月7日が期限の緊急事態宣言をめぐって、対象地域の大阪、兵庫、京都の3府県の知事が会談し、病床のひっ迫が続くなか宣言の延長はやむをえないという考えで一致しました。一方、解除の時期は地元の意見を尊重して柔軟に判断すべきだとして、こうした考えを国に伝えました。

大阪府の吉村知事と兵庫県の井戸知事、それに京都府の西脇知事の会談は1日午後、オンラインで行われました。

この中で吉村知事は「大阪の感染者は減少傾向にあるが、病床のひっ迫は続いている。緊急事態宣言の延長はやむをえないかと思う」と述べました。

また、西脇知事は「いま解除したら再び病床の運用率が上昇しないかと危惧している」と述べたほか、井戸知事は「これまでの努力が無に帰することになりかねず、いま解除するほうが危険だ」と述べ、宣言の延長はやむをえないという考えで一致しました。

一方、解除のタイミングは地域の実情によって異なるとして、地元の知事の意向を尊重して柔軟に判断すべきだということでも一致しました。

さらに、宣言が延長されれば飲食店などへの営業時間の短縮要請も続けるとして、協力金の財源措置を国に要請することを合わせて決め、会談のあとこうした考えを国に伝えました。

愛知 大村知事「宣言解除 厳しい状況」

愛知県の大村知事は今月7日が期限の緊急事態宣言の解除について、愛知県内では新型コロナウイルスに感染して入院している患者数が減っていないとして、厳しい状況だという認識を示しました。

愛知県の大村知事は午前の記者会見で、今月7日が期限で愛知県も対象になっている緊急事態宣言について「ここ1か月の状況を見ると新たな感染者の数が右肩下がりで減ってきているのは事実だが、冬の厳しい気候の中で中等症以上になる人も多く、入院患者の数がなかなか減っていない」と述べました。

そのうえで緊急事態宣言の解除について「医療のひっ迫度合いを考えるとなかなか厳しい状況だ。国ともしっかり協議して、愛知県の感染状況を率直に伝えていきたい」と述べました。

福岡 高島市長“延長やむなし”

福岡市の高島市長は記者会見で、福岡県も対象となっている緊急事態宣言について「延長されれば非常に悔しい。経済も傷んで苦しい状況になる」と述べる一方、「感染者数は明らかに減っているが、病床の使用率は高い」として、延長もやむをえないという認識を示しました。

また、高島市長は新型コロナウイルスのワクチン接種について、福岡市は、地域のクリニックを中心に高齢者とともに介護施設の職員などに優先的に実施したあと、それ以外の市民に接種し、5か月で完了を目指す方針を示しました。

千葉 森田知事「宣言 延長すべき」

今月7日が期限の緊急事態宣言について、千葉県の森田知事は、重症者が増加するなど危機的状況は続いているとして、延長すべきだという認識を示しました。

千葉県の森田知事は1日、記者団の取材に応じ、千葉県が対象の1つになっている緊急事態宣言について「今の状況からすると延長するべきだ。国や1都3県、全国の国民が一致団結して、感染者数が少しずつ減ってきたのでこれが戻ることがないように、しっかり対処していくことが大事だと思う」と述べました。

そのうえで「重症者が増加するなど、危機的な状況に変わりはない」として、宣言が延長された場合には、現在行っている飲食店への営業時間の短縮要請などについても延長する考えを示しました。

また、森田知事は「今まで感染者を受け入れていない病院にも後方支援をお願いしており、こうした病院の支援が得られれば、重症者のベッド利用がしやすくなると思う」と述べ、患者の受け入れへの協力をさらに求めていく考えを示しました。

小池都知事「都民の協力以外にない」

首都圏の緊急事態宣言を延長する方向で政府が調整を進めていることについて、東京都の小池知事は「これまで皆さんの協力で、感染者数はかなり抑えられてはきている。ただ、ウイルスは都民の行動が変わると広がってしまう。ここは、こらえどころだ。都民の協力以外には何もないと言ってもいいので、引き続きの協力をお願いしたい」と述べました。

そのうえで、宣言が延長された場合の都の対応については「法律の改正も行われているので、それと合わせて国の基本的対処方針の変更などを確認していきたい」と述べました。

協力金支払われない映画館は

政府が緊急事態宣言を延長する方向で調整していることについて、大阪市内の映画館からは支援を求める声が聞かれました。

緊急事態宣言にともない、運動施設や遊技場といった施設は午後8時までに営業を終えるよう求められていますが、飲食店と違い、応じても協力金は支払われません。

大阪 淀川区の映画館「第七藝術劇場」ではおよそ100席ある客席を感染防止対策のために減らしたうえ、午後8時以降のレイトショーを取りやめています。

外出の自粛に加え、仕事終わりの人たちの来場がなくなったことで売り上げはふだんと比べ3割ほど落ち込み、苦しい経営状態が続いているということです。

小坂誠支配人は「緊急事態宣言の延長は感染拡大を収束させるために必要なのであればやむえないことだと思う」と理解を示しています。

一方、営業時間短縮の要請と協力金の在り方については「飲食店は『要請』のため協力金が支払われ、映画館などは『協力依頼』だから支払われないのは理不尽だ。行政が私たちのような飲食以外の業界のことも考えてくれていると少しでも感じられれば多少の売り上げの減少はいとわないが、何も示されなければ精神的にもつらい。宣言を延長するならば補償についても考えてほしい」と話していました。