保健所の体制「十分ではない」およそ6割 全国知事アンケート

新型コロナウイルス対応についてNHKが全国の知事にアンケートを行ったところ、およそ6割の自治体が保健所の体制が「十分ではない」と答え、保健師など専門職の確保が課題となっているという指摘が相次ぎました。

NHKは2回目の緊急事態宣言が出されたあとの1月、全国の知事を対象に書面によるアンケートを行い、すべての都道府県から回答を得ました。

この中で、保健所の体制が十分だと思うか尋ねたところ、
▽「十分だ」と答えたのは8つの自治体にとどまり、
▽全体のおよそ6割にあたる29の自治体が「十分ではない」と答えました。

「十分ではない」と答えた知事の多くがこれまでもマンパワーの確保に取り組んできたとしていますが、▽栃木県の福田知事は、「新規感染者の急増により業務量が増え、通常業務を一部制限せざるをえない状況だ」としています。
岐阜県の古田知事は「保健師など専門職の確保」が課題だと指摘しています。
熊本県の蒲島知事も「業務の効率化や拡充を行ってきたが、感染拡大の速度に間に合わず、専門職の人数が不足している」と答えています。
沖縄県の玉城知事は、「人員確保のための法的整備や財政的な措置が必要だ」と訴えています。
鳥取県知事も務めた片山善博・元総務大臣は「都道府県の保健所は行政改革の対象となり、意図的・戦略的に人員を整理し、統合して数を減らしてきていた。そこでこんにちのパンデミックで虚を突かれ、なるべくして不十分な体制が露呈した。冬にまた大きな感染の波が来るかもしれないと予測し、体制の補強はある程度できたはずだが、それをできた都道府県がどれほどあったかということだ」と指摘しています。
さらに、アンケートで、ワクチン接種を円滑に進められると思うか尋ねたところ、多くの知事が「できると思うが不安はある」と答えました。

その理由として、▽茨城県の大井川知事は「関係団体との調整など、スケジュールが非常にタイトだ」と準備期間の短さをあげたほか、▽福井県の杉本知事は「医師や看護師など接種に関わる人材の確保が課題だ」と答えています。

また、▽青森県の三村知事が「ワクチンによって、それぞれ特性や管理方法が異なるなど、現場が混乱する要素が多くある」と指摘したほか、▽群馬県の山本知事は「ワクチンがどのようなタイミングや量で流通するか分からないことなどから不安を抱えながら体制づくりに取り組んでいる」と答えました。