新型コロナ 厳しさ増す飲食店 事業譲渡で雇用維持する動きも

新型コロナウイルスの感染拡大で営業時間の短縮を余儀なくされるなど、飲食店を取り巻く環境が厳しさを増す中、事業をそのままほかの企業に譲渡することで店の営業や従業員の雇用を維持しようという動きが相次いでいます。

事業譲渡の仲介会社への相談増加

都内にある事業譲渡の仲介会社では、以前は月に数件程度だった飲食店からの相談が新型コロナウイルスの感染拡大以降、首都圏を中心に増えているといいます。

今月に入ってからでは30件以上の相談が寄せられていて、2回目の緊急事態宣言の影響で売り上げが大きく減少し、店の名前や従業員の雇用をそのまま維持した形で譲渡したいという相談が多いということです。

この会社は幅広く買い手を探していて、最近では譲渡価格が下がっていることから、異業種や地方の企業が買収を検討するケースが増えているということです。

ジャパンM&Aソリューションの新井一史さんは「都心の物件やブランドがある飲食店の売買が増えてきていて、従業員を引き継ぎたいという買い手もいる。仮に譲渡価格が安くても、従業員の雇用や店のブランドを守るためM&Aという手法を有効活用してほしい」と話しています。

このほか、事業譲渡の仲介サービスを手がける都内の別のIT企業でも、飲食店からの依頼が感染拡大前より2割ほど増えていて、飲食店の事業譲渡の動きが今後も広がっていくことが予想されます。

事業譲渡で閉店免れた例も

東京 千代田区にあるアイリッシュパブは、新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく減少する中、事業譲渡によって閉店を免れることができたといいます。

2年前にオープンしたこの店は、一時は月に300万円以上の売り上げがありましたが、去年4月の緊急事態宣言以降、休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、売り上げは3分の1程度まで落ち込みました。

収益の見通しが立たない中、店長の河合豪さんは、もう1人の共同経営者から「出した資金を引き上げたい」と告げられ、店を存続できるかどうかの瀬戸際に立たされたといいます。

それでも河合さんは、1人いる従業員の雇用を守るためにもなんとか店を続けたいと、去年7月、事業譲渡の仲介会社に相談し、その結果、飲食業への参入を考えていた都内のアパレル企業との事業譲渡が成立しました。

店の名前も、従業員の雇用も維持され、今は、2回目の緊急事態宣言で再び休業を余儀なくされていますが、事態が改善すれば営業を再開する予定です。

ピーターコール神田店の河合店長は「本当にギリギリのところで事業譲渡をお願いしたので継続して営業できることがいちばんうれしかった。まずは従業員の雇用を守ることが大事なので、すぐに廃業するのではなく、いろんな手法を使って店の存続を考えることが大事だと思います」と話していました。