新型コロナ 介護サービス利用控え 身体・認知機能の低下懸念

新型コロナウイルスへの感染をおそれて、介護サービスの利用を控える人が、今回の第3波でも出てきています。去年は、利用控えによって身体機能や認知機能が低下する高齢者が相次ぎ、再びこうした影響が広がることも懸念されています。

利用控え “新型コロナに感染するほうが怖い”

都内で1人暮らしをする80代の女性は、週に1度、デイサービスに通って体を動かしたり、ほかの利用者との交流を楽しんだりしてきました。

しかし、感染が拡大した先月からデイサービスの利用を控え、ほとんど外出することが無くなりました。

体を動かす機会が極端に減ったことで筋力が低下し、徐々に歩行が困難になってきているといいます。

また、心臓に疾患がありますが、通院も見合わせています。

女性は「デイサービスや病院に行かずに体調が悪くなるより、新型コロナに感染するほうが怖いので、利用は見合わせている」と話しています。

女性の自宅にホームヘルパーを派遣している訪問介護事業所の責任者、牧野裕美さんは去年相次いだ「利用控え」が今回の第3波でも起き始めていると指摘します。

利用控えをした人には、靴下が自分で履けなくなったり、階段を上るだけで息苦しさを感じたりする「身体機能」の低下が起きたり、人と会話することが無くなることで「認知機能」の低下も起きているといいます。

牧野さんの事業所が担当する高齢者のうち、デイサービスなどの利用を控えているのは2人で、去年ほどは広がっていませんが、牧野さんは「感染者が増え自分の身近に迫っていると感じる高齢者もいて、利用控えは今後、増える可能性がある。できるかぎり訪問介護で支えていきたいが、こちらもぎりぎりの状況が続いているので、国や自治体は支える側の体制の課題にもっと目を向けてもらいたい」と話しています。

約8割の事業所「利用控えた高齢者いた」去年7月末時点調査

デイサービスなど、高齢者が施設に通って支援を受ける「通所介護サービス」では、去年「利用控え」が各地で相次ぎました。

厚生労働省が全国1700余りの事業所に行った調査によりますと、去年の7月末時点で81.7%の事業所が「利用を控えた高齢者がいた」と回答しました。

また、淑徳大学の結城康博教授が去年5月に在宅介護に携わる介護職500人余りに行った調査では、62%の人が「利用を控えたことで心身の機能が低下しているケースがある」と回答しています。