WHO “宣言”から1年 ワクチンの世界的な公平分配呼びかける

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてWHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してから30日で1年になります。
テドロス事務局長は、ワクチン接種を始めている国に対し、医療従事者や高齢者を優先したうえで、世界への公平分配の枠組みにも提供を呼びかけました。

WHOは去年1月30日、中国を中心に拡大していた新型コロナウイルスの感染がほかの国にも広がるおそれがあるとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

テドロス事務局長は29日、定例の記者会見で、1年前は中国以外で感染が確認された人は100人に満たなかったのに対し、今週、感染者の累計が世界で1億人を超え、なお速いスピードで感染が広がっていると述べました。

そのうえで、ワクチン接種が始まっている国々に対して「医療従事者や高齢者に優先的に接種し、ほかの国も同じようにできるよう、世界への公平分配の枠組み『COVAXファシリティ』にワクチンを提供してほしい。リスクが低い人たちは、自分の順番を待ってほしい」と述べました。

ワクチンは、資金力のある先進国を中心に接種が始まる一方で、ほとんどの途上国では始まっておらず、テドロス事務局長は「世界全体で終わらせなければ、パンデミックは終わらない」と述べ、各国に協力を呼びかけています。