東京「転出超過」続き「転入超過」6割以上減 新型コロナ影響で

東京都の人口の動きについて、これまで続いてきた転入が転出を上回る「転入超過」の人数は、去年1年間で3万人余りと前の年から6割以上減少しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、去年7月から6か月連続で「転出超過」となったため、東京一極集中のスピードが緩やかになったことがわかりました。

総務省が住民基本台帳に基づいてまとめた外国人も含む東京都の人口の動きは、去年1年間で転入が転出を3万1125人上回る「転入超過」となりました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、去年7月から12月まで6か月連続で「転出超過」となったため、「転入超過」の人数は、前の年からおよそ5万2000人、率にして6割以上減少し、減少幅は比較可能な2014年以降でもっとも大きくなりました。

東京都の転入超過の人数は、おととしは2位の神奈川県のおよそ3倍と突出していましたが、その差は1500人余りまで縮まりました。

3大都市圏で見ますと、東京・神奈川・埼玉・千葉の「東京圏」は「転入超過」が、前の年から5万人減ったものの、依然として転入が転出を9万9243人上回っています。

一方、愛知・岐阜・三重の「名古屋圏」は「転出超過」が、およそ1万7387人だったほか、大阪・兵庫・京都・奈良の「大阪圏」も、118人の「転出超過」となりました。

「東京圏」では、東京都からの転出者の半数以上が、神奈川や千葉などに転入しているということで、総務省は「通勤の利便性などから、東京圏内での移動にとどめる人が多いようだ」としています。

専門家「東京一極集中減は困難か」

民間のシンクタンク、都市戦略研究所の所長を務める明治大学の市川宏雄名誉教授は「東京一極集中の流れが少し止まったと言えるが、東京圏内の動きが中心なので、劇的な減少になるとは考えにくい。新型コロナウイルスによって、人々の考え方も行動も変わる可能性が高いので、今後、どう定着していくかに注目している」と話しています。

一方で、東京から地方への移住については「地方側が受け入れられるかという別の課題があり、相互の考え方のミスマッチが解消されないかぎり、地方への人口流動は起きないだろう」と指摘しています。