新型コロナ特措法などの改正案 衆院で審議入り

新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案が、衆議院で審議入りし、菅総理大臣は、個人の自由と権利に十分に配慮しながら、支援と罰則をセットで行うことで、感染対策の実効性を高める考えを重ねて示しました。

29日の衆議院本会議では、新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法の改正案が審議入りし、28日、自民党と立憲民主党が、入院を拒否した感染者に対する刑事罰を削除するなどの修正を行うことで、正式に合意したことを踏まえ、菅総理大臣も出席して質疑が行われました。
自民党の中山展宏氏は「感染対策全体の十分な検証がなされていない中、法改正には慎重でなければならない。提案に至った背景と経緯を聞きたい」と質問しました。

菅総理大臣は「対策をより実効的なものとし、何としても感染を抑えていかなければならない。現場を担う知事からも、必要な対策がとれるよう、要望があった。審議のうえ、速やかに可決していただきたい」と述べました。
立憲民主党の長妻昭氏は「『まん延防止等重点措置』の公示は、国会の関与が必要だ。恣意的(しいてき)な運用とならないための仕組みを教えてほしい」と質問しました。

菅総理大臣は「今回の与野党協議で『速やかな国会報告を行うよう、付帯決議で担保する』と合意されたと承知している。合意を踏まえ、真摯(しんし)に対応していく。恣意的な運用がなされないよう、専門家の意見を聴いて実施の判断をする仕組みとする」と述べました。
公明党の高木美智代氏は「感染防止の実効性確保のための規制強化によって、営業の自由や権利、権益が損なわれる国民の立場にも、十分な配慮が必要だ」と指摘しました。

菅総理大臣は「強制力を持たせることは、現場からの要望等が行われ、与野党でも議論をいただいて、法案提出に至った。個人の自由と権利に十分に配慮しつつ、支援と罰則をセットにして、より実効的な対策を行う」と述べました。
共産党の塩川鉄也氏は、入院を拒否した感染者に対する罰則について「不利益をこうむる国民を『犯罪者』扱いするものだ。国民に責任を転嫁し、国が行うべき補償を免れようとするものではないか」と批判しました。

菅総理大臣は「感染者に対する入院措置は、感染拡大を防止するために重要な措置で、罰則規定は、対策の実効性を高めるために必要だ。批判はあたらない」と述べました。
日本維新の会の足立康史氏は「改正案を一刻も早く成立させたい。大事なことは、第3波の終息に全力をあげるとともに、次なる有事への対応と準備に万全を期すことだ」と指摘しました。

菅総理大臣は「1日も早く、現在の感染を収束させるために全力を尽くしていく。そのうえで、決して気を緩めることなく、これまでの経験を踏まえ、問題点や改善点を検討し、対策をさらに進化させていく」と述べました。
国民民主党の浅野哲氏は、事業者への支援について「一律給付制度の内容は妥当と言えるのか。『影響に応じた措置』とするほうが、条文の趣旨に合っている」と指摘しました。

菅総理大臣は「与野党協議で『事業規模に応じた支援の在り方については、事業者の状況や必要性等を踏まえて検討し、支援が効果的なものとなるよう取り組む』と合意されたと承知しており、これを踏まえて適切に対応していく」と述べました。