【7府県】“宣言”から2週間 人出・感染の広がりに変化は?

大阪府、京都府、兵庫県の関西の3府県と栃木県、愛知県、岐阜県、福岡県の4つの県では緊急事態宣言が出されてから2週間がたちました。

人出や感染の広がりにはどのような変化があったのでしょうか。NHKでは、IT企業や疫学の専門家の協力を得てデータを分析しました。

各地の人出の変化は?

NHKは、IT関連企業の「Agoop」が利用者の許可を得て個人が特定されない形で集めた携帯電話の位置情報のデータを使って、緊急事態宣言が出ている首都圏の1都3県の主な地点の人の数を分析しました。

分析した時間は、日中が午前6時から午後6時まで夜間が午後6時から翌日の午前0時までです。主な地点の28日の人出は、2週間前より増えたところもあります。
まず、日中の人出です。

▼宇都宮駅付近で緊急事態宣言に伴う措置が始まった2週間前の今月14日と比べて、69%増加したほか、
▼神戸市の三ノ宮駅付近でも18%増加しました。

▼大阪梅田駅付近は1%の増加とほぼ変わりませんでした。

一方、
▼京都駅付近では16%減少したほか、
▼博多駅付近は11%、
▼岐阜駅付近は5%、
▼名古屋駅付近は2%それぞれ減少しました。

また、1回目の緊急事態宣言の時と比べると、
▼博多駅付近が1回目の宣言が出ていた時の平日の平均と比べて151%増加したのをはじめ、
▼神戸市の三ノ宮駅付近は150%、
▼岐阜駅付近は143%、
▼京都駅付近は138%、
▼大阪梅田駅付近は137%、
▼宇都宮駅付近は108%、
▼名古屋駅付近は96%増加し、いずれもおよそ2倍から2.5倍となっています。
そして、夜間の人出です。

▼神戸市の三ノ宮駅付近が13%増加したのをはじめ
▼大阪梅田駅付近と名古屋駅付近でそれぞれ3%増加しました。

一方、
▼岐阜駅付近では21%減少したほか
▼博多駅付近は20%、
▼京都駅付近は19%、
▼宇都宮駅付近は17%、それぞれ減少しました。

また、1回目の緊急事態宣言の時と比べると、
▼大阪梅田駅付近が166%増加したのをはじめ
▼博多駅付近が164%、
▼神戸市の三ノ宮駅付近が150%、
▼名古屋駅付近が126%、
▼京都駅付近が122%、
▼岐阜駅付近が121%、
▼宇都宮駅付近が12%の増加で、宇都宮をのぞけばいずれも2倍を超えています。

【各府県詳細】1人の感染者から何人に感染が広がっているか

NHKが1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」を簡易な手法で計算したところ、緊急事態宣言が出されている11都府県すべてで前の週より低くなっていることが分かりました。専門家は「減少する傾向が見えてきているが、まだ感染者は多く、ここで気が緩むと数週間後には再び感染が拡大するので、徹底した対策を継続する必要がある」と指摘しています。
NHKは、疫学の専門家で国立感染症研究所の鈴木基 感染症疫学センター長の監修を受け、緊急事態宣言が出ている11都府県について、28日までのデータに基づいて、簡易な手法で実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされていて、より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者の数をもとに簡易な手法で計算しています。

※今後、公的な機関などが発表する実効再生産数のデータと結果的に異なる場合があります。

栃木県

栃木県では
▼今月7日時点で1.52、
▼今月14日時点で1.20、
▼今月21日時点で0.72、
▼今月28日時点で0.60と「1」を下回っています。

愛知県・岐阜県

愛知県は
▼今月7日時点で1.05、
▼今月14日時点で1.13、
▼今月21日時点で0.91、
▼今月28日時点で0.85と「1」を下回っています。

岐阜県は
▼今月7日時点で1.17、
▼今月14日時点で1.01、
▼今月21日時点で0.91、
▼今月28日時点で0.79と「1」を下回っています。

大阪府・京都府・兵庫県

大阪府は
▼今月7日時点で1.26、
▼今月14日時点で1.31でしたが、
▼今月21日時点で0.96、
▼今月28日時点で0.82と「1」を下回っています。

京都府は
▼今月7日時点で1.02、
▼今月14日時点で1.22、
▼今月21日時点で0.99、
▼今月28日時点で0.90と「1」を下回っています。

兵庫県は
▼今月7日時点で0.97で、
▼今月14日時点で1.33、
▼今月21日時点で0.98、
▼今月28日時点で0.84と「1」を下回っています。

関西の2府1県では
▼今月7日時点で1.12、
▼今月14日時点で1.30と上がる傾向が見られましたが、
▼今月21日時点で0.97と「1」を下回り、
▼今月28日時点では0.84となっています。

福岡県

福岡県は
▼今月7日時点で1.18、
▼今月14日時点で1.28、
▼今月21日時点でも1.02でしたが、
▼今月28日時点では0.75と「1」を下回りました。

全国

また、全国では
▼今月7日時点で1.17、
▼今月14日時点で1.27と「1」を上回っていましたが、
▼今月21日時点では0.96、
▼今月28日時点で0.77と「1」を下回っています。

専門家「減少傾向見えてきたが 楽観できない」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博 教授は「ゆるやかだが、感染者の減少傾向が見えてきた。緊急事態宣言の効果に加え、感染者の急増への警戒感が高まったことが反映されていると考えられる。ただ、まだ感染者数は多く、ここで安心して気が緩むと、数週間後には再び拡大する上、医療現場のひっ迫状況が改善するにはまだ時間がかかるので決して楽観できない。減少傾向が続くことが重要で、一人一人がこれまでと同様、飲食を通じた感染を防ぐなど徹底した対策を継続する必要がある」と話しています。