どう乗り切る?コロナ感染 1人暮らしで自宅療養

どう乗り切る?コロナ感染 1人暮らしで自宅療養
新型コロナの感染拡大で自宅で療養する人が急増しています。
病状が急に悪化したらどうしよう。家族にうつさないか。
不安はつきませんが最近ネットを見ていて気になったのが1人暮らしとみられる人の不安の声です。
「1人暮らしで自宅療養の場合どうやって生活すればいいのでしょうか?スーパー行ってもいいんですかね」
「食事ができなくなりそうでコロナよりも餓死の恐怖のほうがじわじわ来てる…一人は不便だね」
厚生労働省に聞いてみると自宅療養は「外出しないこと」が前提なんだそうです。
宿泊施設ならお弁当が配られますが看病してくれる家族がいない1人暮らしの場合どうすればいいんでしょうか?

(ネットワーク報道部 記者 玉木香代子 小宮理沙 谷井実穂子 高杉北斗)

そもそも自宅療養ってしていいんでしたっけ?

今でこそ感染者の急増で入院したくても自宅療養を余儀なくされるケースが相次いでいますが、当初は感染したら「全員入院」だったはず。

そもそも自宅療養はどういう条件で行われているのでしょうか。

調べてみると厚生労働省は去年8月、自治体向けに自宅療養の考え方を示していました。

それには新型ウイルスへの感染が確認された人は軽症や無症状でも症状の急変などに備えて「宿泊施設での療養を基本とする」と書かれています。

ただし施設が足りない場合や育児や介護で自宅に残らざるをえない場合は「外出しないことを前提に自宅療養できる」としています。

つまり自宅療養中は「ご飯を買いにちょっと近くのコンビニまで」といった行動はしないことになっているのです。

じゃあいつまで自宅に?

気になる自宅療養の期間ですが症状があるか無いかで条件が少し違っています。

無症状の人は陽性が分かった検査で検体を採取した日から10日間たてば終了です。

症状がある人は発症から10日間たっていることに加えて解熱剤を飲まなくても熱が下がるなど症状が回復してから72時間がたっていれば自宅療養を終えられます。

早めに症状が回復するなどしてPCR検査や抗原検査で陰性が確認されれば期間が短縮されることもありますが、症状があっても無くても「10日間は外出できない」と考えて対応する必要があるのです。

“食事の配達が必要”しかし…

今や全世帯のおよそ3割を1人暮らしが占める日本。

一歩も外出せずにたったひとりで10日間を乗り切るには、体力を維持するうえでも食料の確保が欠かせません。

厚生労働省もその認識はあるようで、自治体に向けた通知の中で「自宅療養者に食事の配達を確実に行う必要がある」と明記しています。

そのために自治体が行う配食サービスに補助金が使えるようにして導入を呼びかけていますが、実施している自治体はまだ一部にとどまっています。

鍵になるのは「人手」と「配送」

自宅療養者が1月28日の時点で6000人を超えている東京都では25日から23区内での配食サービスが順次始まりました。

しかし、それまでは多摩地区のほか一部の区に限定されていました。

導入が進まない背景にあるのは、ただでさえ感染者への対応で業務がひっ迫する中で人手の確保が難しいこと。

去年4月から独自に食料の配布を始めていた足立区では、保健所以外の部署の職員の協力によってサービスが可能になったそうです。
足立区の担当者
「当時、韓国や台湾で自宅療養者に食事を配っている様子をネットのニュースで見て思いつきました。食欲がなくなった時にはおかゆがあったほうがいいよね、おかゆにはさけフレークが合うよねなどと、職員で話し合いながら内容を決めました」
配送業者を入札で選定する時間も惜しかったので自分たちで配ることにしたそうですが、保健所ではとても対応できません。

そこで感染症対策の業務とは直接関係のない部署から最大6人の職員を出してもらうことにしてサービスを始めました。

感染者の増加を反映するように利用者は増え、これまでに利用した約500人のうち6割以上が去年11月以降に集中しているそうです。
足立区の担当者
「利用者が少ないときは車2台で配っていましたが、最近は倍の4台でなんとか届けていました。都が食料を配布するので区としてのサービスは終えますが、これ以上、利用が増えれば対応を再検討しなければならない可能性もありました」

利用者が多いと壁も高く

埼玉県も態勢を整えるのに苦労した自治体の1つです。

1月20日の時点で1日に2715人に食料を配布していますが、サービスを始めるまでには2か月以上を要したそうです。
埼玉県では管理栄養士資格を持つ職員が栄養バランスが偏らないよう献立を考え、それを元にシリアルや魚の煮つけ、栄養補助食品など3日から5日分を想定した食材およそ60品目を配っています。

気持ちは協力したいんだけど…

準備を始めた当初あるスーパーに協力を依頼すると「食材は確保できても箱に梱包する人手がない」と言われて断られ、配送業者には「風評被害につながりかねない」と難色を示されたそうです。

食材の調達などは2つの業者に、配送は玄関先に“置き配”にするなどの工夫で協力してくれる業者を見つけ何とか契約までこぎつけましたが、去年8月には準備を始めながらサービスを開始したのは去年11月に入ってからでした。
埼玉県の担当者
「多くの品物をそろえて動かすというのは非常に大変だということを痛感しました。最近、近隣の自治体から配食サービスを始めるにはどうしたらいいのかという問い合わせが相次いでいますが、どこの自治体も手探りなのだと思います」

専門家「とにかく協力者をみつけて」

自治体の配食サービスの態勢がなかなか整わない中、自宅療養となった場合私たちはどう乗り切ればいいのでしょうか。
国際医療福祉大学 松本哲哉 教授
「マスクをしていても感染している人は口腔内にウイルスがあるので多少はウイルスを外に出しています。感染させるリスクがある以上、外に出てはいけないのです。食料がない場合は我慢せずに誰かにお願いをしましょう。とにかく協力してくれる人を見つけることが大事です。また遠方でも家族がいる場合は連絡をとりあって調子が悪くなっていないかを気付いてもらうことも重要です」

濃厚接触者にも戸惑いの声

さらに悩ましいのが濃厚接触者となった場合です。

ネットにも戸惑いの声が相次いでいます。
「家族が感染したから濃厚接触者になったけれど、保健所からの連絡がなかなか来ない。食料とかどうしたものか」
「濃厚接触者になった時のために買いだめしなきゃ」

外出自粛の期間は感染者より長い14日間

濃厚接触者にあたるかどうかは保健所が調査を行い、感染が確認された人と近距離で一定の時間、接触したかどうかなどを踏まえて個別に判断されます。

濃厚接触者になるとPCR検査を受けることになりますが、厚生労働省はたとえ陰性の場合でも潜伏期間があるとして感染者と接触してから14日間は不要不急の外出を控えて自宅で待機するよう求めています。

支援少なく外出 どうすればいい?

濃厚接触者に独自に食事を配っている自治体もありますが、自宅療養者への配食サービスと違って国の補助もなく対応している自治体はさらに少ないとみられます。

家族や知り合いなど食事を届けてくれる人がいない場合はお店に買いに行っていいのでしょうか。

厚生労働省に問い合わせたところ「具体的な方針は示しておらず、保健所の指示に従ってほしい」という回答でした。

保健所を管轄する自治体の対応を調べてみると、やむをえず外出が必要な場合はしっかりと感染対策を行い公共交通機関の利用を控えるよう呼びかけているところが多くみられます。

中には具体的に外出のしかたを明示しているところもあります。

東京・港区の「みなと保健所」は「食料品の買い物の際はマスクを着用し、会話をせずに最小限の時間で自宅に戻ってほしい」としています。

また最近は保健所の業務がひっ迫し濃厚接触者の調査を縮小する自治体も出てきています。

このうち神奈川県は保健所からの連絡がなくても、自分が濃厚接触者だと思う人は同様に14日間は不要不急の外出を控え、食料品などの買い物について判断に迷う場合は保健所の指示に従うよう呼びかけています。

やむを得ない場合は感染対策をしっかりと

国際医療福祉大学 松本哲哉 教授
「濃厚接触者も感染している可能性が十分あると考えられるため、外出は控えてください。やむをえず買い物などに行く場合は、必ずマスクをして人との接触を最低限に減らすことを意識し、手に取った商品を戻したりやたらと物に触ったりせず、必要な物だけを買ってまっすぐ帰るようにしましょう」
そして、可能であれば感染したときの備えを日頃からしておくことを勧めています。
国際医療福祉大学 松本哲哉 教授
「感染する可能性を考えて、レトルト食品など10日分の食品や生活必需品を消毒薬などとともにあらかじめ買っておいて、家に備えておくと。高熱が出たり、食欲が低下したりして脱水になりやすいので、水道水以外にも何らかの飲料水の備えもあるといいと思います」