国連事務総長 優先課題にコロナ対策や気候変動対策など挙げる

国連のグテーレス事務総長は、ことし国連が取り組む優先課題に、新型コロナウイルス対策や気候変動対策、核軍縮などを挙げ、各国の協力と行動を呼びかけました。

グテーレス事務総長は28日、ニューヨークの国連本部にある国連総会の議場で演説し、ことし国連が取り組む優先課題として、新型ウイルス対策や気候変動対策、それに核軍縮と核不拡散など10のテーマを挙げました。

このうち新型ウイルス対策については、ワクチンが最貧国に届いていないとして「ワクチンの十分な供給と公平な分配を保証するため、COVAXにワクチンを供給してほしい」と述べ、WHO=世界保健機関が主導して公平な分配を目指す枠組みへの協力を呼びかけました。

また、気候変動対策については、各国政府に対し、2030年までに温室効果ガスの排出量を2010年と比べて45%削減するための行動計画を年内に提出するよう求めました。

そのうえで「すべての都市、企業、金融機関は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする確実な行程表を採用してほしい」と述べました。

さらに核軍縮についてグテーレス事務総長は、先週発効した核兵器禁止条約が定める核廃絶という目標を支持するよう核保有国を含むすべての国に呼びかけました。

そして、ことし8月に予定されているNPT=核拡散防止条約の再検討会議で、各国が、核なき世界に向けて核軍縮の方向性などについて共通認識を見いだすよう求めました。

国連が取り組む10の優先課題

国連がことし、国際社会とともに優先的に取り組むとした10の課題は以下のとおりです。

1.新型コロナウイルス対策。

2.新型ウイルスからの包摂的で持続可能な復興。

3.自然との共存(気候変動対策)。

4.貧困と不平等への対処。

5.人権への攻撃への対抗。

6.世界最大の人権課題であるジェンダーの平等。

7.地政学的な対立の緩和と共通認識の模索。

8.核軍縮と核不拡散体制の衰退の歯止め。

9.デジタル技術の活用と増大するリスクの管理。

10.21世紀の再構築(より包括的な多国間主義)。

グテレース事務総長「広島訪問を強く希望」

グテレース事務総長は演説のあと記者会見し「ことし広島を訪問できることを強く希望している。新型ウイルスの感染拡大が収まり、訪問できるようになることを望んでいる」と述べ、ことし8月6日の「広島原爆の日」に現地を訪問したいという意向を表明しました。

グテーレス事務総長は、原爆投下から75年にあたる去年8月、核軍縮に取り組む国連の決意を発信するためとして、広島訪問を検討していましたが新型コロナウイルスの感染拡大の影響で断念していました。