田中将大 楽天へ復帰決定 2年契約 年俸プロ野球最高 推定9億円

大リーグ ヤンキースをフリーエージェントとなり、今シーズンの所属先が決まっていなかった田中将大投手が、古巣のプロ野球 楽天に復帰することが決まりました。日本球界でプレーするのは、楽天を球団初のリーグ優勝と日本一に導いた平成25年以来、8年ぶりとなります。

背番号は「18」

田中投手は大リーグのヤンキースで7年間プレーしましたが、昨シーズン終了後にフリーエージェントとなり、所属先が決まっていませんでした。

こうした中、楽天は田中投手と交渉を進め、28日入団することで合意したと発表しました。

田中投手が日本球界でプレーするのは、平成25年以来、8年ぶりとなります。

背番号は楽天時代につけていたエースナンバーの「18」に決まりました。

球団によりますと、契約期間は2年で、年俸は推定で9億円に出来高払いがついているということで、巨人の菅野智之投手の推定8億円を上回ってプロ野球史上最高の年俸となりました。

田中投手は32歳。ドラフト1位で楽天に入団し、1年目から11勝をあげて、新人王に輝きました。

平成25年には24勝0敗、防御率1.27という圧倒的な成績を残して球団初のリーグ優勝と日本一に導きました。

よくとしからはヤンキースに移籍し、日本選手で初めてとなる6年連続でふた桁勝利をあげるなど先発ローテーションの一角を担いました。

田中投手はプロ野球で99勝、大リーグで78勝をあげ日米通算では177勝をマークしています。

田中「決断の経緯 思いは会見で」

田中投手は28日午後8時すぎに自身のツイッターを更新し、「この度、楽天イーグルスと契約させていただきました。今シーズン、日本でプレーする決断に至った経緯や思いは、後日、入団会見を行う予定ですので、その席でお伝えできればと思います」と記しました。
また、田中投手は28日午後9時すぎに自身のツイッターを更新し、昨シーズンまで所属していた大リーグ・ヤンキースのファンに向けて英語のメッセージを送りました。

田中選手はこの中で「愛するファンの皆さんへ。このような大変な時期に皆さんが無事でいることを願っています。今シーズンどこでプレーするかを決断したのでお伝えします。私は日本に戻り2021年のシーズンは楽天イーグルスでプレーすることにしました。この7年の間、私に与えてくれた愛と応援に感謝します。ニューヨーク・ヤンキースの一員としてグラウンドに立ち、情熱的なファンの前でプレーできたことは本当に幸せで名誉なことでした。ありがとうございました」と記しました。

このツイートに対し、ヤンキースファンとみられる人たちからは英語で「ありがとう」「いなくなるのはさみしい」とか「また近いうちにお会いしましょう」などといったコメントが寄せられています。

石井監督「優勝目指す特別なピース」

プロ野球・楽天でゼネラルマネージャーを兼任する石井一久監督は田中投手との入団合意を受けて報道各社の取材にオンラインで応じました。

田中投手本人から28日午前中に入団の意向を伝える電話があり「楽天でお世話になります。優勝に精いっぱい貢献できるように頑張ります」と話していたということです。

そのうえで石井監督は「ホッとした。優勝を目指す特別なピースだ。現場として心強い」と喜びを表しました。また、ことし3月で東日本大震災から10年になることに触れて「ことしは特別、大事なシーズンだと田中投手とも話した。そういう特別な年に楽天復帰に導かれるのは、スペシャルな選手にしかありえないタイミングだと思う」と話していました。

一方田中投手と同じ少年野球チームでプレーしていた同学年で巨人の坂本勇人選手は球団を通じて「日本野球界にとってすごく明るいニュースで、将大の投球をまた見られることにワクワクしています。僕たちの世代を常に先頭で走ってくれている将大とまた同じステージでプレーできることを誇りに思い刺激にもなります。本当にすごいことですね。対戦できることを励みにこれからも頑張ります」とコメントしています。

厚み増す先発投手陣

プロ野球で8年ぶりのパ・リーグ優勝と日本一を目指す楽天にとって日米通算177勝をあげている田中投手の復帰は、これ以上ない補強と言えます。

楽天の先発投手陣には、ロッテから移籍1年目の昨シーズンに史上初となる所属3球団で最多勝に輝いたベテランの涌井秀章投手。ルーキーだった平成25年に田中投手とともに球団初のリーグ優勝と日本一に貢献した則本昂大投手(これまでに最多奪三振のタイトルを5回獲得)。そして最優秀防御率や最高勝率のタイトルに輝いたことがある岸孝之投手の実績のある3人のピッチャーがいます。

これ以外にも、最速155キロを誇るドラフト1位ルーキーの早川隆久投手も即戦力として期待されています。

これに田中投手が加わることで先発投手陣の厚みが大きく増すことになります。

震災10年 再び楽天に

田中投手は東日本大震災から10年となる年に被災地でもある仙台市に本拠地を置く古巣 楽天に復帰することが決まったことになります。

東日本大震災が起きた当時、田中投手は楽天に所属していて、2年後の平成25年には24勝0敗の圧倒的な成績でチームを初のリーグ優勝と日本一に導き、多くの被災者を勇気づけました。

そのよくとしから大リーグ・ヤンキースでプレーしましたが、シーズンオフには楽天時代のチームメートと一緒に被災地の小学校などを訪れています。

また震災が起きた3月11日には毎年、コメントを発表し「月日が経過した今だからこそ震災の記憶と経験を風化させてはいけない」などと被災地に思いを寄せてきました。

そして震災から10年となることし活躍の舞台を大リーグからプロ野球に移し、再び被災地 仙台市に本拠地を置く古巣 楽天でプレーすることになりました。

被災地も期待の声

震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町では、再び被災地を元気づけてほしいと期待の声が聞かれました。

町内で薬局を営む小坂克己さん(63)は、楽天の応援団の一つ「楽天イーグルス南三陸町応援協議会」の会長を務めています。

田中投手の活躍で楽天が初の日本一に輝いた平成25年の日本シリーズでは、被災した町民を元気づけようと、当時まだ仮設だった『南三陸さんさん商店街』でパブリックビューイングを企画し、選手たちに声援を送りました。

小坂さんは、田中投手が大リーグに移籍してからも、テレビで試合を観戦するなどして応援を続けてきました。

小坂さんは「私自身、津波で店を流され、大変な時期もありましたが、この10年を振り返ると、田中投手の活躍にとても元気づけられました」と話しました。

そして、節目と言える年に田中投手が楽天に復帰することについて「今は新型コロナウイルスで、被災地だけでなくみんなが苦しいですが、彼のプレーで再び元気を与えてほしいです」と期待を寄せていました。

米メディアも相次いで伝える

田中将大投手のプロ野球、楽天への復帰は、アメリカのメディアでも相次いで伝えられています。

このうちタブロイド紙の「ニューヨーク・ポスト」は28日の紙面で田中投手の楽天復帰を報じたうえで「この7年間ヤンキースで最も安定した投手であり、クラブハウスで最も尊敬された選手の1人であり続けた」とその功績をたたえました。

一方で、日本への復帰を決断したことについては「田中投手にとってこのオフシーズンがどのように進んだかを考えると驚きではない」としています。

大リーグは昨シーズン、新型コロナの感染拡大で試合数が大幅に減った上、レギュラーシーズンはすべて無観客で実施されたため各球団の収入が大きく減少し、資金力のあるヤンキースも今シーズンは選手の年俸総額を抑える方針です。

このため移籍市場の動きが例年以上に鈍く、アメリカの「ヤフースポーツ」は「田中投手はこのオフのFAでトップ10の1人だったが、遅すぎる市場と各球団の消極性が帰国に影響した可能性がある」などと伝えています。

またNBCテレビは、田中投手が日本のプロ野球に復帰することで「東京オリンピックの出場資格を得た」とも伝えていて、「日本代表に選出されればアメリカのスポーツファンにとって最も有名なオリンピック選手の1人となるだろう」と、期待を込めて伝えています。

田中将大とは

田中将大投手は、兵庫県出身の32歳。
北海道の駒大苫小牧高校で2年の夏に投手陣の柱として甲子園連覇に貢献し、翌年の決勝では早稲田実業の斎藤佑樹投手と引き分け再試合まで戦って高校野球の歴史に残る熱闘を繰り広げました。

ドラフト1位で楽天に入団し、1年目の2007年に野村克也監督のもとで11勝をあげて新人王に輝きました。

プロ5年目、東日本大震災が起きた2011年には19勝5敗の成績で最多勝や最優秀防御率などのタイトルを獲得し、沢村賞にも選ばれて、日本球界を代表する投手となりました。

そして2013年には24勝0敗、防御率1.27と圧倒的な成績を残して、楽天を球団初のリーグ優勝と日本一に導きました。

特に日本シリーズでは、王手をかけたあとの第6戦で160球を投げて完投しながらこのシーズン初めて負け投手となった翌日の第7戦、3点リードで迎えた9回に星野仙一監督におさえとしてマウンドに送られ、その手で日本一を果たしました。

この年のオフにポスティングシステムを利用して大リーグに挑戦し、ヤンキースと7年契約を結んで日本円でおよそ161億5000万円と伝えられた大型契約が話題となりました。

ヤンキースでも1年目から13勝をあげるなど入団から6年連続でふた桁勝利をあげ、伝統ある人気球団で先発ローテーションの一角を担い続けました。

昨シーズンは7月の開幕前の練習中に打球を頭に受けて出遅れましたが、60試合の短縮日程のなかで3勝3敗、防御率3.56の成績を残しました。

ただ、これまで得意としていたプレーオフでは先発した2試合でいずれも試合を作れず、シーズン終了後、年俸およそ20億円の「クオリファイング・オファー」と呼ばれる1年契約が球団から提示されずに自身初めてのFA=フリーエージェントとなっていました。

大リーグでの通算成績は7年間で78勝46敗、防御率3.74で、プロ野球ではこれまでに通算99勝をあげています。

これまでの成績

田中投手のこれまでの成績です。(楽天球団ホームページ参照)
【楽天】
▽2007年
登板28試合 11勝7敗0セーブ(完投4 完封勝1 防御率3.82)
▽2008年
登板25試合 9勝7敗1セーブ(完投5 完封勝2 防御率3.49)
▽2009年
登板25試合 15勝6敗1セーブ(完投6 完封勝3 防御率2.33)
▽2010年
登板20試合 11勝6敗0セーブ(完投8 完封勝1 防御率2.50)
▽2011年
登板27試合 19勝5敗0セーブ(完投14 完封勝6 防御率1.27)
▽2012年
登板22試合 10勝4敗0セーブ(完投8 完封勝3 防御率1.87)
▽2013年
登板28試合 24勝0敗1セーブ(完投8 完封勝2 防御率1.27)
(NPB通算)
登板175試合 99勝35敗3セーブ(完投53 完封勝18 防御率2.30)

【大リーグ ヤンキース】
▽2014年
登板20試合 13勝5敗0セーブ(完投3 完封勝1 防御率2.77)
▽2015年
登板24試合 12勝7敗0セーブ(完投1 完封勝0 防御率3.51)
▽2016年
登板31試合 14勝4敗0セーブ(完投0 完封勝0 防御率3.07)
▽2017年
登板30試合 13勝12敗0セーブ(完投1 完封勝1 防御率4.74)
▽2018年
登板27試合 12勝6敗0セーブ(完投1 完封勝1 防御率3.75)
▽2019年
登板32試合 11勝9敗0セーブ(完投1 完封勝1 防御率4.45)
▽2020年
登板10試合 3勝3敗0セーブ(完投0 完封勝0 防御率3.56)
(MLB通算)
登板174試合 78勝46敗0セーブ(完投7 完封勝4 防御率3.74)