特措法と感染症法の改正案 修正協議始まる 27日も協議継続へ

新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法の改正案をめぐる与野党の修正協議が始まり、野党側は入院勧告を拒否した感染者への懲役刑の撤回などを求めたのに対し、与党側は持ち帰って検討する考えを伝え、27日も協議を続けることになりました。

国会内で行われた修正協議には、衆議院内閣委員会と厚生労働委員会の与野党の筆頭理事に加え、冒頭には自民党と立憲民主党の国会対策委員長も出席しました。

この中では、新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法の改正案に盛り込まれた事業者や感染者に対する罰則や、事業者への財政支援の在り方など、5つの項目について意見が交わされました。

このうち野党側は、入院勧告を拒否した感染者に懲役刑を含む刑事罰を科すとしていることについて「行き過ぎだ」として撤回を求めました。

また、営業時間の短縮などの命令に応じない事業者への過料についても「十分な財政支援がなければ実効性はあがらない」として、見直すべきだと主張しました。

さらに、緊急事態宣言が出される前の「まん延防止等重点措置」については透明性を確保するため、国会への報告などを規定するよう求めました。

これに対して与党側は、持ち帰って検討する考えを伝え、27日も協議を継続することになりました。

与党側は、今週29日の衆議院本会議で改正案の審議に入りたい考えで、罰則の扱いなどで野党側と、どこまで折り合えるかが焦点となります。

修正協議 議論されている項目は

与野党の修正協議では、新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法の改正案をめぐり、5つの項目が議論されています。

特別措置法の改正案で焦点となっているのは、営業時間の短縮などの命令に応じない事業者に対する行政罰としての過料の扱いです。

改正案では、
▼緊急事態宣言が出されている場合は50万円以下の過料、
▼宣言が出される前の「まん延防止等重点措置」の場合は30万円以下の過料を科すとしていますが、
この過料の額が妥当かどうか議論されています。

また、特別措置法の改正案では、
▼「まん延防止等重点措置」について、国会への事前報告を含め、透明性をどう確保するかや、
▼要請に応じた事業者に対する財政支援をどのように担保するかも、
論点となっています。

一方、感染症法の改正案では、刑事罰の扱いが焦点となっています。

改正案では、
▼感染者が入院勧告を拒否した場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科すとしているほか、
▼保健所の調査に虚偽の申告をしたり拒否したりした場合は、50万円以下の罰金を科すとしていますが、
これらの刑事罰が妥当かどうかをめぐり議論が続いています。

与党側は

衆議院内閣委員会で与党側の筆頭理事を務める、自民党の松本 元外務大臣は、記者団に対し「緊急事態の中で、少しでも多くの党派の合意を得ることが望ましいという点では一致している。閣議決定した法案を修正するのは大変重いことだが、野党側の立場を聞いたので、それを受け止めて、どのようなことができるか考えていきたい」と述べました。
衆議院厚生労働委員会で与党側の筆頭理事を務める、自民党の菅原 前経済産業大臣は、記者団に対し「入院を拒否する場合でも、いろんな事情があるので『一概に拒否したら懲役に行き着くのはどうなのか』という意見は、与党の中にもある。しっかり詰めて、野党からもらった意見をよく協議したい」と述べました。

野党側は

衆議院内閣委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の今井雅人氏は、記者団に対し「私たちは、私権制限にあたることについては極めて抑制的な考え方で、それに沿った要求をした。与党側から返事が来た段階で、また協議を続けていきたい。あすいっぱいまでには『こういう内容であれば合意できる』というところまで持っていきたい」と述べました。