ヨーロッパでコロナワクチンの供給遅れる 法的措置検討の国も

ヨーロッパでは、製薬会社からの新型コロナウイルスのワクチンの供給が予定より遅れていて、イタリア政府が製薬会社に対し法的措置も辞さない姿勢を示すなど、各国はいらだちを募らせています。

EU=ヨーロッパ連合ではアメリカの製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックが開発したワクチンの接種が先月から始まっていますが、研究者らのウェブサイトによりますと、24日の時点で少なくとも1回、接種した域内の市民は2%未満にとどまっています。

EU各国が製薬会社からのワクチンの供給が遅れていると指摘しているのに対し、ファイザーなどは、ワクチンを生産しているベルギーの拠点で生産拡大に伴って工程を変更しているため、一時的に供給量が減少していると説明しています。

また、近くEUは、イギリスの製薬大手アストラゼネカのワクチンにも使用許可を出す見通しですが、アストラゼネカも当初の供給量は予定を下回るとコメントしていて、EUは24日、会社側に契約どおりの供給を強く求める書面を送りました。

こうした事態にイタリアのディマイオ外相が24日、地元のテレビで「契約を履行させるようあらゆる手段を尽くす」と述べ、製薬会社に対して法的措置も辞さない姿勢を示すなど、感染力が強いとされる変異ウイルスが拡大する中、EU各国はいらだちを募らせています。

イギリスもワクチンの供給に懸念

変異したウイルスの感染拡大が深刻なイギリスでは、ワクチンの接種が急ピッチで進められていて、これまでに650万人余りが1回目の接種を受け、80歳以上の高齢者のおよそ78%が接種を受けたということです。

政府は、高齢者施設の入所者や職員、70歳以上の高齢者や医療従事者など1500万人への接種を来月15日までに行うことを目指していて、今のところ順調に進んでいるとしています。

ただ、イギリス政府はワクチンの供給についてたびたび懸念を示していて、ハンコック保健相は25日、記者会見で、「ワクチンの供給に余裕はない状況だ」と述べ、接種を計画どおり進めていくには、供給が大きな課題になるという見方を改めて強調しました。