緊急事態宣言3週目 感染状況示す指標の変化は?

緊急事態宣言が出されて3週目に入っていますが、感染状況などがどう変わってきているのか、東京都などが発表したデータをもとに詳しく見ていきます。

政府の分科会は感染状況を判断するための6つの指標を示しました。
最も深刻な「ステージIV」の目安の数字が上の段です。
最新の数値では、4つの指標でまだ「ステージIV」の目安を上回っています。
東京都の最新の数値を見ると、
▽「病床の使用率」は東京都の発表に基づいて計算すると70.0%、このうち重症者用の病床使用率は62.4%、
▽「療養者数」は10万人当たり130.9人、
▽「PCR検査などの陽性率」は22日までの1週間平均が9.8%、
▽「新規感染者数」は10万人当たりの1週間の平均が60.5人、
▽「直近1週間と前の週の感染者数の比較」が0.8倍、
▽「感染経路が不明な人の割合」は55.8%となっています。

「陽性率」と「前の週の感染者数の比較」以外は、ステージIVの目安を上回っています。

このうち、感染状況や病床のひっ迫状況について推移をみると、東京では新規感染者数は減少する傾向にあるものの、重症患者用の病床使用率は上がる傾向にあり、医療機関の負担は重い状態が続いています。

東京・新規感染者数

東京都では人口10万人当たりの新規感染者数は、緊急事態宣言が出された今月7日までの1週間では平均61.9人でした。

その後、11日時点では91.1人まで増加しましたが、その後は減少傾向となり、24日時点では60.5人となっています。

ただ、感染状況を示すステージの指標では、最も深刻な「ステージIV」の目安、「25人」を超える状況が続いています。

東京・陽性率

また、PCR検査などの陽性率は、東京都の発表で今月7日までの1週間平均が14.5%で、最も深刻な「ステージIV」の目安の値を上回っていましたが、徐々に下がってきていて、今月22日までの1週間平均では9.8%となっています。

東京・病床ひっ迫

一方で、病床のひっ迫状況は高止まりが続いています。

東京都の発表によりますと、「確保している病床の使用率」は今月7日時点で78.9%でしたが、12日時点では85.7%にまで上がりました。

その後、減少傾向にありますが、24日時点で70.0%と高い状態が続いています。

東京・重症病床使用率

より深刻なのが重症患者用の病床のひっ迫です。

確保している病床に対して、東京都の基準で重症とされた患者が占める病床使用率は、今月7日時点では48.4%でしたが、1週間後の14日には54%、2週間後の21日には63.6%となりました。

24日時点では62.4%と、60%を上回る状況が続き、病床全体、重症者用の病床ともに、最も深刻な「ステージIV」の目安の値「50%」を超え、医療機関の負担が重い状態が続いています。

大阪府も病床ひっ迫 使用率70%超続く

大阪府など7府県に対しては、今月13日に緊急事態宣言が出されました。

このうち、大阪府での感染状況や病床のひっ迫状況について推移をみると、感染者数はやや減少傾向にあるものの、病床の使用率は70%を超える厳しい状況が続いています。

大阪・新規感染者数

大阪府の発表によりますと、人口10万人当たりの新規感染者数は、東京都などに緊急事態宣言が出された今月7日までの1週間では平均29.7人でしたが、急激に増加し、大阪府などに緊急事態宣言が出された13日の時点では43.5人となりました。

その後、やや減少傾向となり、24日までの1週間では38.1人になりましたが、最も深刻な「ステージIV」の目安、「25人」を超える状況が続いています。

大阪・陽性率

また、PCR検査などの陽性率は大阪府の発表によりますと、1週間平均の値は今月13日前後の9.0%をピークに下がる傾向が見られ、24日の時点では7.7%でした。

大阪・病床ひっ迫

一方、病床のひっ迫具合は70%を超える状況が続いています。

「最大で確保できる病床に占める割合」は、今月13日には68.3%でしたが、15日以降は70%を上回る状態が続き、24日時点では75.8%となっています。

大阪・重症病床使用率

このうち、重症患者用の病床のひっ迫はより深刻で、緊急事態宣言が出された13日以降は80%以上の日がほとんどで、15日と18日には87.0%となりました。

24日時点では81.4%で、全体の病床、重症者用の病床ともに最も深刻な「ステージIV」の目安の値「50%」を超えていて、東京などと同様、医療機関の負担が重い状態が続いています。

専門家「減少傾向続くか慎重な見極めを」

東京都や大阪府の新型コロナウイルスの状況について、日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「東京都、大阪府ともに10万人当たりの陽性者数やPCR検査の陽性率は減少する傾向がみられていて、よい兆しだ。緊急事態宣言から2週間がたった東京では減少の幅も大きく、対策の効果が出てきている可能性がある。また、大阪府は東京都ほどは減ってはいないが、宣言が出たのが、東京都より1週間ほどあとなので、今後、さらに減少傾向がはっきりしてくる可能性がある」と話しています。

一方で、重症者用の病床の使用率が増加傾向にあることについては、「新型コロナウイルスの患者は発症から遅れて重症化するため、重症者病床の使用率は今後もしばらく下がらない状況が続くとみられる。しばらくは医療機関のひっ迫は続くと考えられるためまだ安心していい状況ではない」と話しています。

また、今後について舘田教授は「飲食の場を中心とした現在の対策が本当に効果的かどうかは、今後も感染者数が順調に減り続けるかどうかをみて初めて評価できる。しばらくの間、減少傾向が続くのが重要だ。わずかでも増加の兆しがみられれば、現在の対策では制御が難しいということになり、ほかの業種にも時短や休業の要請するなど、より強い措置を取らざるを得なくなる。この1週間ほどは感染状況を慎重に見極めながら今後を考える重要な時期だ」と話しています。